Reason and solution when the body hurts
ロードバイクから落車したときにまず考えないといけないことは、自転車ではなく落車した自分の体。車通りが多い場所であればすぐに安全なところに避難する。その次は頭へのダメージの確認。特に頭へのダメージは命に関わるため、頭を打ってヘルメットが大きく損傷していたらすぐに救急車を呼び、動かずにその場で安静にしていること。
他にも、手や足が動かない場合やひどい出血をしている場合も迷わず救急車を呼ぶこと。万が一、体が動かない場合や大きなけがの場合は、救急車を呼んだり周りの人に救いを求めたりすること。処置が遅れると悪化するだけ。必ず病院で治療を受けることが大切。
そこまで大きな損傷でなくても、ジャージやレーサーパンツなど衣服が破れていたらその付近をよく観察して、出血しているかどうか・擦り傷はないか・打撲していないかなどを落ち着いて確認する。必要に応じて早いうちに病院で診察してもらうことも大切。
落車直後は気が動転しているため、怪我の程度を軽視しがち。痛みも転倒でアドレナリンが出ている間は気が付かなくても、後で思った以上のダメージがあったことがわかるという例はよくある。転倒時、まずは慎重に自分の体の状態を確認すること。
自分の体をよく確認し、大きな損傷がなくても、すぐに走り出してはいけない。必ずロードバイクのチェックを行う。転倒後、十分にチェックせずに走り出すとロードバイクが破損している場合、よけいに被害が拡大してしまうからだ。そんなに時間はかからないので必ずチェックすること。
なお、ステムやブラケットなど、アーレンキーやちょっとした工具があればその場で修理が可能。ロングライド時や自転車を使った旅行時など携帯工具を持ち運んでおけば、ある程度の対応は可能。
一方でロードバイクの破損が激しい場合は乗車して帰宅するのは危険なのでやめておこう。この場合の対処方法は後述しているのでそちらを参照のこと。
まずはフレーム、フロントフォークにひびや曲がりがないかをチェックする。とくにカーボン素材を使っているロードバイクはクロモリ素材に比べて破損しやすいため入念にチェックすること。ひびや曲がりがひどい場合は、そのまま乗ると体重や振動で乗車注に大破する事も考えられ非常に危険。このような場合は乗るのをあきらめること。
落車時、ブラケットは最も曲がりやすい部分。この部分が曲がっていた場合は、ブラケットの外側の浅い溝に5ミリのアーレンキーを差し込んで左に回してボルトを緩める。ボルトを緩めるとブラケットは手でも動かせるようになるので、元の位置に戻し、再度ボルトを締めて固定する。外出先でアーレンキーを持っていない場合は十分に注意して家に帰った後、作業を行うこと。
前方や側面から見てステムが曲がっていないかを確認する。曲がっている場合はアーレンキーを使うことで修正が可能。ホイールを両足で挟み、ステムのボルトに合ったアーレンキーを使ってボルトを緩め、元の真っすぐな位置に戻してからボルトを締める。
落車時のハンドルの曲がりは2つのタイプに分けられる。一つはハンドル本体が曲がってしまうタイプ。もう一つは取りつけ部分が曲がるタイプ。目視でハンドルが曲がっていないかを確認すること。
ハンドル本体が曲がっている場合は、曲がっている状態にもよるが、交換しなければならないこともある。ハンドル本体が曲がっているのであれば、早いうちに自転車店に相談すること。取り付け部分が曲がっている場合は、アーレンキーがあれば修正が可能。アーレンキーでステムをハンドルに固定しているボルトを緩めて、曲がっている部分を戻して締め直せばOK。
目視で全体を確認した後は、ロードバイクを持ち上げて、前後のホイールが正常に回るかを確認する。
ホイールが回転しない場合、まずはブレーキが正常な位置に取り付けられているかどうかを確認する。ブレーキの位置がずれている場合は手である程度の調整が可能。ブレーキアーチ全体を手で包み込むように押さえ、手の力で正しい位置に戻して修復する。
ブレーキが片側のみリムに接触していると制動性が大きく落ちたり、きちんと停止できなくなったりするので、リムとブレーキシューの左右の隙間が同じになるように調整する。
調整後に何度かブレーキをかけ、左右のブレーキが同じように効くようになっていなければOK。もしブレーキが効かないのであれば乗車は諦めて輪行するなり、押して帰るなりすること。
ブレーキの位置に問題がなく、ホイールが正しく回転しない場合はホイールの取りつけ部分が曲がっていることが考えられる。この場合は、まずは一旦ホイールを外し、再度はめ直してみる。
はめ直してホイールを回してみても正しく回転しない場合や、常にブレーキシューとリムのいずれかの部分が接触してしまうのであれば、ホイール自体が歪んでいることが考えられる。
こうなると外出先での修理は諦めたほうがいい。ブレーキアーチのクイックレバーを上げてブレーキアーチを開放すればブレーキシューとリムの幅が広がり、ホイールが歪んでいてもある程度は回すことができるようになる。ただ、この状態はブレーキの効きが非常に悪いため、十分注意して走行し、できるだけ早めに自転車店に見てもらうこと。
強い衝撃でスポークが折れている場合もある。スポークが折れているとホイール全体のテンションがくずれてリムが歪み、ホイールが曲がる原因ともなりえるので早めに対応したい。もしスポークが折れていたら、取り急ぎ折れているスポークを外すこと。外したスポークはその場に捨てずに持ち帰ること。
一時的な対処法として、折れたスポークの両隣のスポークのニップルをニップル回しで半周だけ左回しして緩ませる。半周緩めたらホイールを回転させてホイールが左右にブレていないかを確認。
ホイールがまだ左右に振れているようだったら、またニップルを半周緩めて確認する。他のスポークのニップルは絶対にいじらないこと。なお、これはあくまで応急処置であり、自宅に戻り自転車店でスポークの張り直しと調整を依頼しよう。
ただ、外出先にニップル回しを携行する人は多くないだろう。スポークが折れてしまったらそれ以上は乗らないほうが無難。
右側に転倒した場合、ディレイラーが損傷している可能性がある。ディレイラーは非常に重要かつ繊細なパーツなので乗車前には必ず点検すること。ギアをローに入れ、スポークと干渉していないかを確認する。
ディレイラーやチェーンがスポークと干渉している場合、フレームのエンド部分が曲がっている可能性が高い。エンド金具部分が曲がっていると特殊な工具で直すしかなく、その場での修正は不可。ギアをスポークに干渉しない位置まで戻して、変速を使わずに走行すること。帰宅後は早めに自転車店に向かうこと。
ロードバイクの状態を確認して走行不可能と判断したら、乗って帰ることは諦める。一旦近くの駐輪可能な場所に駐輪してから後ほど車などで回収に戻ってくること。もちろん、歩行者の邪魔にならないことや、駐輪禁止の部分に駐輪しないこと、必ず鍵をかけるなどは当然行うこと。
車が使えない場合はロードバイクを輪行袋に入れてから、タクシーや電車、バスなどを使って家に戻る。多くの公共交通機関は輪行袋に入れないと乗り物への持ち込みが不可なので気をつけること。ゴミ袋で梱包したとしても注意されることが多い。
輪行袋は自転車旅行以外にもこのような場面で活躍するので、1つは持っておくと便利。輪行袋について詳しくは「おすすめの輪行袋と、その他必要なアイテム」を参照。
近くに自転車店があるのであれば、ロードバイクを押してもっていき、その場で修理をお願いするといい。スマートフォンを持っていれば近くの自転車店を探すのもそう難しくない。
ただし、ロードバイクのパーツは普通の自転車店に置いていない物も多いので、必ず修理ができるとは限らないということだけ知っておこう。
実際、外出先でシフトワイヤーが切れた際、大手自転車チェーン店に修理を依頼しようと持ち込んだところ、ロードバイクの修理はできないと断られたという話もあるので、必ず修理を受けてもらえるわけではないことを抑えておきたい(修理してもらえないからといって怒らない)。
事故は自分の注意と工夫で最大限予防できるが、相手の不注意で事故に遭うこともある。
例えば自動車に接触するなどの事故に遭った場合は、十分な対処を行いその後の被害やトラブルを最小限に抑えることが大切。警察に連絡を行うだけでなく、スマートフォンで写真や動画を撮影して可能な限り事故の状況を記録しておく。相手の車のナンバーがわかれば必ず記録しておく。
相手の連絡先を聞くのはもちろん、後日第三者の証言が必要になることもあるため、目撃者がいれば真摯に協力をお願いし、名刺などをもらうなどして連絡先を聞いておきたい。
事故が起きた場合は最優先でけがの治療を行なう。自分で手に負えない場合は相手や周りの人に救いを求める。処置が遅れると悪化するだけだ。必ず病院で治療を受けること。今後の保険などの請求が可能な場合もあるので、領収書は必ずもらい保管しておくこと。
事故の際は必ず警察へ連絡し、必要に応じて救急車を手配すること。
相手が自動車の場合、過失割合にもよるが、多くはけがの治療代、壊れた自転車の修理代、場合によっては休業補償や慰謝料などが相手の自動車保険で支払われる。その場合、警察が発行する交通事故証明書が必要になる。
警察を待っている間、相手の運転免許証を必ず確認し記録しておく。同様に、自動車のナンバーと車体を撮影しておけば仮に相手が逃げても後で追跡が可能。
警察が来たら現場検証にできるだけ立会い、状況を正確に説明すること。
自転車保険や生命保険に加入している人は、警察を待っている間保険会社にも連絡をしておく。事故にあって気が動転しがちだが、保険会社に電話して指示を仰ぐだけで冷静になれるし、次に行うことが明確になる。
事故はいつ起きるかわからないので自分の加入している保険会社とその保険の種類を知っておき、いつでも連絡できるよう携帯電話の連絡先に入れておくといい。
もし、保険に加入していない人は、万が一の場合に備えて、加入を検討することをおすすめしたい。
加害者となった場合、何よりも被害者の救護が先決である。もちろん加害者であるなしにかかわらず、負傷者を救うことが最優先であるのはいうまでもない。状況に応じて早急に救急車も呼ぶこと。
自転車での事故による相手への補償額は、1,000万円を超えるものもある。こうなってくると簡単には対応できないので、ロードバイクに乗るのであれば相手への補償が可能な自転車保険に加入しておくこと。詳しくは「ロードバイクには自転車保険が必須な4つの理由」を参照。
警察にも必ず連絡しておこう。仮にその場で警察に連絡せず、後に相手側が連絡をした場合、立場が悪くなることがある。その場で自ら連絡したほうが結果的によいこととなる。
もしなんらかの保険に入っている場合、賠償補償が使える場合もある。他にも、自転車保険に入っている人は補償を受けることができる可能性がある。この場合も交通事故証明が必要なので、警察への連絡は必須となる。
加害者になった場合、最も大切なことは被害を与えた相手への真摯なお詫びである。その後のお見舞いやきちんとした説明など、できる限り被害者に対して誠意を尽くすことが加害者としての当然の義務である。
相手が警察への連絡を嫌がり、その場での示談を示してくる場合があるが、示談には応じてはいけない。
自分が被害者の場合、けがは後遺症になるかもしれず、その場の示談ではカバーされないことになるし、補償や慰謝料などについてもうやむやになる可能性がある。相手が警察を呼ぶのを渋っていた場合は救急車を呼ぶ。救急と警察は連動しているため、黙っていても警察が来てくれる。
自分が加害者の場合でも、示談金を目的とした詐欺もあるので必ず警察を呼んで正しく状況を説明すること。
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