乗車後・乗車中に体が痛い時の理由と解消法

Reason and solution when the body hurts

ロードバイクに乗り始めた人が必ず通るのが「痛み」。人によって痛みの部分や症状はさまざま。走行距離が30kmほどであれば痛みは出なくても、100kmを超えた途端に痛くなるという場合もあり、一言では語れない。ここでは、ロードバイク乗りが訴える痛みのである「お尻」「肩」「膝」の痛み等についてその理由と解消法を紹介する。
乗車後・乗車中に体が痛い時の理由と解消法

初めに

ロードバイクは非常に効率的なダイエット方法の一つ。さまざまなスポーツの中でもサイクリングはカラダに負担をかけにくい。その理由は体重の多くがサドルで支えられるため、過度な運動を体にかけないため。

ところがロードバイクで走ることが怪我の原因になることもある。ロードバイクに乗ることで体の各部が痛む時の主な理由はさまざまだが、セッティングや乗り方に原因があることが多い。

お尻の痛みとその対策

お尻の痛みの原因

お尻が痛む原因としては、腕とお尻にかかる体重のバランスが悪いことや、サドルの形状が骨盤にあっていないことなどが考えられる。

お尻の痛みは人間の骨盤が体重を支えるようにはなっていないことに根本的な原因がある。ロードバイクで立ちこぎをしている時以外は、サドルとお尻は接触している。短時間ならば問題なくとも、座って漕いでいる時間が長くなれば、当然お尻が痛くなる。

ロードバイクの場合左右のペダルにうまく体重を乗せてペダルを回すことができれば、お尻に体重をかけなくてもいいように思うのだが、実際にはペダルを踏むと、その力は自分の体を持ち上げる力として返ってくるため、それを上半身の筋力で押さえつけようとして、サドルの上でお尻が右往左往するというのが実際の姿。

その結果、路面からの振動がサドルに伝わってお尻が打撲を受け、さらにサドルにこすりつけられることで皮膚に小さなすり傷ができる。また、サドルと接触する部分の近くに性器があるため、男女ともそこにしびれや痛みが出た場合、悩みが深刻なものになる。

例えば、尿道など股の前部の圧迫による痛みの場合は、尿道など股の前部の圧迫による痛みで、小便をする際に痛みが強くなる。前傾姿勢を取り続けた場合やサドルの角度が上向きの場合に起こりやすい。

どの痛みについても、最大の要因はサドルとお尻の相性の問題であり、自分のお尻に適したサドルに出合うことができれば、ほとんどは解決する。

お尻の痛みの原因

  • サドルの高さが適切でない
  • サドルの角度が骨盤に合っていない
  • サドルの形状がお尻に合っていない

痛くならないための事前準備~サドル編~

お尻の痛み問題を解決する対策のひとつは、サドルを自分のお尻に合ったものに交換すること。骨盤の形状を把握し、サドルの角度や形状がお尻の形に合っていれば痛みは軽減するはず。

サドルの選び方

現代のサドルはカーボンや樹脂ベースの新素材で人間工学に基づいて設計され、サドル中央部に穴が開いていたり溝やクッション材の盛り上がりがあったりと、用途に合わせてさまざまな形状のものがある。

自分の身体にフィットしたサドルを選び出すのは至難の業だ。ポイントは現在使っているサドルで不満に思う部分、つまり痛みを感じる部分を具体的に見つけて、それを解決するサドルを選ぶのがいいだろう。サドルの選び方の詳しくは、>お尻が痛くならないサドルの選び方とお尻が痛くなった場合の対応策を参照のこと。

クッション材やジェルなどが入ったサドルはどうか

お尻が痛くなるのは、いろいろな要因がある。サドル形状はもちろん、サドルの高さや前後位置、取り付けの角度にいたるまで、実に複雑な問題が絡み合っている。

基本的にはお尻が痛くなりにくい夕イブのサドルを選ぶのだが、痛みが辛い場合は座面が幅広で坐骨が当たる部分にクッション材やジェルなどが入ったものを選ぶ。ただし、重量が増すだけでなく、座面が幅広なのでスムーズなペダリングもやりにくくなるので注意したい。

もしくはクッション材の入ったサドルカバーというアイテムもある。これは状況に応じて使用できるので、お尻の痛みに悩んでいる場合は、それを使うと良い。

自転車サドルカバー クッション

自転車サドルカバー クッション

出典 Amazon

サドル座面の広さによる影響

サドルの広さ 痛みやすさ ペダリング
狭い  痛くなりやすい スムーズなペダリング
広い 痛くなりにくい ペダリングがスムーズでなくなる

サドルのポジション

サドルのポジションは実に奥が深い。乗り方により、お尻とサドルが接触する部分が変わってくるからだ。つまり、自分に合うサドル形状も変化していくというわけだ。

一般的に上半身が起きている場合、サドルの中央より後ろ側や上半身が前傾している場合はサドルの前側を圧迫する。乗り方とサドルが合っていないと、股関節の内側や男性の場合は尿道から肛門にかけて、女性は股間周辺が痛くなりやすい。これはその部分が圧迫されるからであり、体が起きているような楽なポジションをとることで軽減される。そのため、乗り方に合わせたサドルポジションを選ぶことが大切だ。

そして、同じ姿勢で長時間乗り続けることが痛みの原因にもなりえるので、ハンドルを持つ位置をこまめに変えて一箇所に体重がかかるようなことを避けるとともに、痛くなる前に休むことが大切だ

乗り方とサドルが合っていない場合は

男性 尿道から肛門にかけて痛くなりやすい
女性 股間周辺が痛くなりやすい

サドルのセッティング

サドルのセッティング

忘れてはならないのがサドルのセッティング。サドルは上面が完全に水平になるようセットする。高さや取り付け角度、前後位置は走りながら微調整していく。設定が適当でない場合は痛みが出やすい。水平にしても痛みが減らない時は、サドルの前後位置も変えてみる。

ある程度、乗り込んだ時点で、ハンガー中心からの距離やサドル前後&傾斜位置を実測しておくといい。乗り込むほどに変化していくのがわかるはずだ。

ハンドルのセッティング

ハンドルの高さも尻の痛みに関係する。サドルよりハンドル位置が低いと走る姿はかっこいいが、強い前傾姿勢は男性器などサドルの前側に当たる部分への圧力を高め、痛みを発生させることがある。その場合はハンドルをサドルと同じ高さに調整することをおすすめする。

しかしハンドル位置を高くしすぎると、今度は上半身の体重が尻へ移動し、これも尻の痛みにつながる。

痛くならないための事前準備~パンツ編~

レーサーパンツを履く

サドルが適切であっても尻が痛くなることはある。このような場合は下着やズボンの縫い目の硬い部分が股間とサドルに擦れることが原因である場合が多い。最も効果的な対策は、自転車用のレーサーパンツを履くこと。

レーサーパンツはサドルに当たる部分が滑りやすく柔らかな素材でできており、内部にはクッション性のあるパッドが付いている。これにより痛みを防いでくれるだけでなく、ペダリング時の脚との摩擦を抑えるので、長時間乗っていても快適。春~秋までは膝上まで、冬はくるぶしまでと季節や気温に合わせた長さのレーシングパンツが各メーカーから販売されている。

[パールイズミ] コンフォートパンツ

[パールイズミ] コンフォートパンツ

出典 Amazon

ちなみに、レーサーパンツを履く時は下着をつけないのが原則。下着は擦れやすく、下着が肌に食い込み、トラブルの原因になるからだ。この自転車用のパンツは、抗菌処理が施されているものも多いのでそのまま履いても大丈夫。

なお、レース用は歩くのには適さないので、ツーリングなどレース以外の様々な用途に使うのであれば、ツーリング用やMTB用のパッド入りパンツがおすすめ。パッドそのものが伸縮性に富んだ素材のものや体型別男女別のものもある。

摩擦軽減アイテムをつける

ロングライド時の痛み防止なら、摩擦を軽減するためのクリームをパッドに塗れば、擦れによる痛みは抑えられる。

摩擦 防止 保護 クリーム プロテクト ジェイワン

摩擦 防止 保護 クリーム プロテクト ジェイワン

出典 Amazon

痛くならないための事前準備~乗り方編~

痛くならないための事前準備~乗り方編~

乗り方を変えれば痛みは軽減できる

前方に段差や穴など避けようのないものがあった場合には、あらかじめサドルからお尻を上げて膝で衝撃を吸収する。こうすることで、ある程度衝撃による痛みを回避できる。さらに、乗車中にお尻に違和感が出てきたらダンシング(立ちこぎ)をするなどお尻を浮かし、こまめにポジションを変えることで痛みを軽減できる。

その他にも、ロードバイクは様々なハンドルの握り方を行うことができるので、適度に握る箇所を変え体重を腕とお尻に分散するのも方法のひとつ。結果として自分の体とロードバイクの理想的なバランスを取ることが、痛みを和らげる第一歩。

ツーリング中に痛くなった場合

ツーリング中にお尻が痛くなる初心者は多い。長時間・長距離走行するという理由の他に、ツーリングはトレーニング時に比べて着替えや補給食など持ち運ぶ荷物が多く、その重量がお尻に負担を掛けてしまっているためだ。

体力的にバテたとしても、休憩してエネルギーを補給すれば回復するが、尻の痛みはすぐに治るものではない。そのため、ツーリング中にお尻が痛くなったら、特効薬的な対策はない。

もしツーリング中に痛くなった場合、軽度でゴールも近いのなら、尻をずらしながら痛くないポイントで座ったりときどき尻を浮かしてダンシングをしたりして、だましだましでゴールを目指す。

一方で先が長い場合は、緊急処置としてサドルにタオルなどを巻いてクッション材としたり、タイヤの空気圧を下げて衝撃吸収力を高めたり、ハンドルを低めにサドルを高めにして手への負荷を増やすなどして、サドルにかかる体重や負荷を軽減する。なお、空気圧を下げた場合、パンクしやすくなるのでその点だけ大きな注意が必要。

変速も有効に活用したい。体重を足側に逃がすために、重いギアを踏んで足に体重をかけたり、逆に疲労してきた場合は軽いギアに変えてペダリングを速くすると、体重が前に移動して解消する。というのも、疲れている場合はサドルに体重がかかりお尻が痛くなるからだ。

緊急策
  • サドルにタオルなどを巻いてクッション材とする
  • タイヤの空気圧を下げて衝撃吸収力を高める
  • 変速を有効に使う

手が痛い、肩痛・腕痛の原因と対策

手・腕・肩の痛みは筋肉疲労や路面からの振動が原因

手・腕・肩の痛みは乗車による筋肉疲労でも起こりうるが、路面からの振動を長い間受けていると発生することもある。

ロードバイクの乗車姿勢は前傾姿勢なので、下半身の体重は尻や脚が支え、上半身、特に頭部など重さのあるものは手と腕、肩が支えている。そこへ路面から振動が伝わってくると、手や腕、肩に少しづつだがダメージを蓄積していく

ロードバイクには空気圧の高いタイヤや強い張力で組み上げられた車輪が用いられており、そこまで振動吸収力は期待できない。そのため舗装状況の悪い道を走ると、激しい振動がサイクリストを襲う。

もちろん、タイヤ・車輪・フォーク・ハンドル・バーテープなどが振動のかなりの部分を吸収したり、日本の舗装道路は世界でも最高水準に近いものだが、それでも最低限の振動対策は必要だ。

痛みの箇所とその原因

痛みの箇所 原因
手の痛み 上体が前傾しすぎて手に体重がかかりすぎ
グローブをつけていない
クッション性が低いグローブを使っている
グローブ形状が合っていない
レバー類の取り付け位置が悪い
ハンドルの幅が広すぎる
手首の痛み 手に体重がかかりすぎ
不自然な角度の手首に、過度に体重がかかっている
レバーの角度
ハンドルの幅が広すぎる
肩の痛み リラックスした状態でない
ハンドルの幅が広すぎる
重い荷物を背負っている
首の痛み ヘルメットが重い
上体の傾きが強くて首が必要以上に上がっている
猫背になっている

痛み対策

走行時は腕を軽く曲げる

振動が体に伝わらないように肘を曲げて振動を吸収する。もちろん振動のすべてを肘で吸収することはできないが、肘を突っ張っている時より格段に楽になる。簡単に実施できるわりに効果が高い。

ハンドルを握る位置を変えてみる

ハンドルの同じ位置を握っていると、結果的に同じ姿勢で走ることになり、同じ筋肉が振動を受け続けて疲労や痛みとして現われる。ハンドルの握る位置を変えれば姿勢も変わり、体を支える筋肉を変えることもできる。こうして特定の筋肉だけが疲れるのを防ぎ、疲れた筋肉を回復させる時間を作ることもできる。

グローブを変えてみる

手のひらにパッドの入ったグローブは、路面の振動を吸収して手のひらや腕への影響を抑えてくれる。グローブは振動を吸収するだけでなく、ハンドルを持つ際のグリップ力を高め操作性を高めたり、万が一転倒した際に手をついた場合手のひらの損傷を防ぐ役目も持つので、ロードバイクで走行する際は常に着用しておきたい

シマノ ベーシックグローブ5

シマノ ベーシックグローブ5

出典 Amazon

ヘルメットを変えてみる

肩や首の痛みには、ヘルメットが関係していることも。ロードバイクの前傾姿勢では前方をしっかりと見るため、あごを上げて顔を前向きに支える姿勢をとることになる。

こうした姿勢は日常生活ではあまり行わない姿勢なので疲れやすい。しかもヘルメットをかぶり慣れていないとヘルメットの重さが肩や首に負担をかけることになる。使っているヘルメットに不都合を感じるなら、軽くて通気性のよい製品に換えてみよう。

オージーケーカブト(OGK KABUTO) 自転車 ヘルメット REZZA-2

オージーケーカブト(OGK KABUTO) 自転車 ヘルメット REZZA-2

出典 Amazon

肩や背中に痛みを感じる時は、ウェアに問題の場合も

肩や背中に痛みを感じる時は、ウェアに問題がないかを考えてみたい。自転車用ウェアは軽くて伸縮性が高いが、その伸縮性の高さゆえ、肩ひもの付いた小さめのパンツを着用すると、そのひもが肩に食い込んで痛みを生じることがある。

これを防ぐには無理のないサイズを選ぶとともに、走り出す前に背筋を伸ばすストレッチを行なったうえで、ウェアの肩ひもが背中にストレスを与えない位置にして乗ることをおすすめする。

サイクリング ビブショーツ

出典 Amazon

衝撃吸収性の高いフォークを使う

前輪を支えているフォークは様々な素材が使われているが、カーボン素材のものは京劇急性が高いことが特長。カーボン素材のフォークは上半身を襲う路面のショックを吸収してくれるばかりでなく、段差や突起物に乗り上げた時にハンドルを安定させてくれるので安全面でも効果がある。

フレームからフォークまで全てカーボン素材のモデルは高価だが、価格を抑えるためにフレームがアルミで、フォークだけがカーボン素材というモデルもある。衝撃が気になる人はこのようなモデルを選ぼう。

バーテープを変えてみる

ロードバイクの装飾パーツと思われがちなバーテープだが、バーテープも振動を吸収してくれるアイテムの一つ。手や腕への振動で悩んでいるのであればバーテープの交換もおすすめ。もちろん、グリップ力が上がるだけでなくロードバイクの印象も大きく変えることができる。交換は思っているよりも簡単にできる。

Fizik フィジーク 自転車 バーテープ

Fizik フィジーク 自転車 バーテープ

出典 Amazon

肩の痛み

肩の痛み

原因

基礎体力がない

ロードバイク初心者に起こりやすいのが肩の痛みだ。これは腹筋と背筋が強化されていないことで、上半身の体重を肩と腕にかけるために起こる痛み。ロードバイクに日々乗り続けると基礎体力はついていくので、ロードバイクで走ることを日々の習慣すれば次第に解決していく。

ハンドル位置が悪い

肩が痛い場合気にしたいのがハンドルの位置。一番考えられるのが前傾しすぎるセッティング。特に、ロードバイク初心者は腹筋と背筋がまだ強くなっておらず、肩から腕にかけて体重が乗ってしまう場合に起きることが多い。

こちらもロードバイクで走ることを日々の習慣すれば次第に解決していく。それでも解決しない場合は、ハンドルの高さを変える事が必要。

重い荷物を持っている

トレーニング時であればサドルバッグに小銭やパンク修理キットを入れて走ることができるが、自転車通勤の場合は着替えやタオルなど多くのものを持ち運ぶ必要がある。そのため、リュックやメッセンジャーバッグを使用する人がほとんど。

ただし、重い荷物を長時間持っておくことで肩への負担がかかり肩の痛みにつながることも。

解決策

ロードバイクに乗り続ける

肩の痛みのほとんどがロードバイクに乗り慣れておらず、無駄な筋肉を使っている場合や、必要な筋肉が弱い場合。そのため、ロードバイクを日々乗り続ければ肩の痛みはある程度解消する。

ハンドルの高さ変える

ロードバイクに乗り続けていてもどうしても肩が痛い場合はハンドルの高さを上げるために、ステムの反転や短縮を行ったりというのも手だ。

ハンドルはそうそう変更できるパーツではないが、コラムとハンドルをつないでいるステムの長さを調節することで、ボジショニングを変えることができる。

ロードバイクにもともと装着されているステムがほぼ平行に設定されているならば、ステムを反転させて取り付けることで、20mmほど上向きになる。上半身を起こした楽なポジションにしたい初心者にはおすすめ。こうすることで、肩へのストレスが大幅に軽減できる。

自分の体にフィットするハンドルに変える

ロードバイクに取り付けられているハンドルの形状はドロップ形状。そしてドロップバーの左右部分の幅や、前への突き出し具合、上から下までの距離の違いがある。自分の肩に負担にならないハンドルを選ぼう。

荷物の重さを分散させるバッグを使う

[ドイター] スポーツ・アウトドア用バックパック レース X

出典 Amazon

普通の肩掛けカバンを使うと肩でのみ荷物の重さを支えることになるので肩への負担が大きい。そのため方の痛みにつながる。ロードバイクでバッグを使うのであれば荷物の重さを体全体に分散させる事のできるバッグを使う。

例えばドイターのレースXであれば、荷物を支えるのは肩だけでなく背中と腰で支えることができるので、肩への負担を大きく減らせるし、重さによる疲れも大きく軽減できる。

ドイターのレースXについて詳しくは「ロードバイクで使うリュックはドイターのレースXがおすすめ」を参照。

膝の痛み

膝の痛み

膝の痛みの原因
  • ペダルに乗せる足の位置が悪い
  • サドルの高さが適切でない
  • ビンディングシューズの設定が不適切
  • 重いギアを多用しすぎる

一般的に膝関節の腱はペダルに乗せる足の位置が悪いことによって炎症が生じる。ペダリング時の動きが膝の許容範囲に適合しない場合に現われる症例だ。

サドルの高さやビンディングシューズの設定が不適切などの要因により、膝を痛めてしまう場合も。膝が痛くなると、ペダルを踏み込むのがつらくなるので致命的。

膝関節はペダルを回転させたときに稼働する角度がとても大きく、しかも何度も繰り返すことになり、最も酷使する部分のためだ。ペダルが真下6時の位置にきた時に、膝の角度が150度前後というのが理想的。それよりも角度が深いと膝に負荷が掛かり、浅くても足を痛める原因に。

その他の原因
  • 水分不足
  • ライディングポジションが不適切
  • 筋肉が硬い
  • 関節の不具合

膝関節周辺の痛みが出る腱炎になることも

他にも、膝関節周辺の痛みが出る腱炎になることも。腱炎の多くはライディングポジションが適切でなかったことが原因で発生する。症状は主に膝だが手首にも出る。さらに疲労の蓄積、好ましくない気象条件などが加わり悪化していく。

膝の炎症がひどくなると膝の外の表面にある大腿筋膜の炎症や、腸脛靭帯症候群になる場合が多い。この症状は、大腿部の外側にある骨の隆起と腸脛靱帯が、何度も膝を屈伸することによって過度にぶつかり合ってできるもの。外観としては一般の腱炎と同じように見えるのが特徴。

解決方法

一般的な予防方法としては、まずペダル位置、クリート調整、クランク長、サドル高とひきしろ、ハンドルバーの角度や位置調整などで、筋肉と骨格に問題が生じるのを防ぐことが不可欠。基本的にミリ単位まで微調整したい。

特に有効なのは、サドルの高さの調整。ペダリングの動きに合わせた膝の角度を調整すること。特にペダルに乗せた足の角度によって、膝に非常な負荷がかからないようにしたい。

調整箇所一覧
  • クリート調整
  • サドル高とひきしろ
  • ペダル位置
  • クランク長
  • ハンドルバーの角度や位置

クリートの角度を膝の形状に合わせた調整をする

人によって膝の形状は違う。ストレート脚の人がいればO脚やX脚だっている。ロードバイク初心者はペダルとシューズをクリートで固定する際、クリートの角度により膝を痛めてしまうことも。O脚の人は足先を広げるような角度で、逆にX脚の人は足先を狭めた角度でセッティングするのがいいだろう。

膝の形状 クリートの角度
O脚 足先を広げるような角度
X脚 足先を狭めた角度

サドルの高さの目安は膝の曲がりに余裕があるくらい

サドルの高さも膝の痛みに大きく影響する。サドルの高さは股下寸法×0.885が、一般的に言われている数値。初心者には高すぎるが、これを上限とし、無理のない高さに設定するのがいい。どうしても膝の痛みが消えないならば、クランク長を変えてみる。

サドルの高さ=股下寸法×0.885

水分補給も大切

腱の柔軟性の面からも水分補給は非常に重要だ。喉が乾くまで水分補給をしないのは致命的だ。年齢も考慮すべきで、高齢のサイクリストは若齢の3倍は水分を摂取しておくと危険性が低い。

腰が痛い

サドルが低くて上体が起きると腰に負担がかかりがち。サドルの前後位置の調整もポイントになる。

腰が痛い原因
  • サドルの高さが適切でない
  • サドルの前後位置の調整不足
  • 腕とお尻の体重比重が悪い

足の裏が痛い

親指の付け根の拇指球と小指の付け根の小趾球を結んだ線上が、ペダルを踏む最適の場所。そこからズレれば痛む可能性も。

足の裏が痛い原因
  • 踏む場所が適切でない
  • つま先で踏み込んでいる
  • 靴が合っていない

その他の痛み

その他様々な疾患がある。知識として知っておこう。

筋肉痛

筋肉痛の症状としてよく知られているもの

痛み 筋肉に触れたり筋肉が収縮したりする時に痛みがある。この痛みは物理的なオーバーロードによって、筋肉内に毒素が蓄積されたことが原因。
断裂 筋繊維が伸びきってしまったこと。筋肉を強く伸張し続けたことで、筋肉の弾性が限界を超えてしまった時に起こる。ひどい場合は、部分的、全体的に筋繊維が断裂する。
けいれん 筋肉が連続して収縮を繰り返し、コントロールできない状態になる。断続的に痛みが伴う。首筋の僧帽筋と腰はけいれんが頻繁に起こりやすい部位。

腱炎

腱が傷ついた場所から痛みが発生するのが腱炎だ。腱は伸縮する筋肉を骨に結びつけている部分で、筋力を伝達するうえで重要な役割を担っている。

そのため、筋肉の動きを調節したり、必要以上の力がかかったとき、それを緩和させることができる弾性が必要だ。腱炎というのはさまざまなパターンがある。

膝蓋軟骨疾患

膝蓋軟疾患は、膝頭と膝蓋軟骨の怪我。一般に腱炎と診断されがちだが、実際にはそれとは異なり、誰もがかかえる怪我ではない。何年もかけて、何万キロも乗るうちに、関節炎を知らないような健康な膝にも障害が発生することになる。

まとめ

ロードバイクは体に負担をかけにくい運動だが、長い距離走ったりハードに走ったりすることで体への負担がかかってしまう。痛みの中には事前に対応できるものもあるので、事前にきっちり対応して楽しいサイクリングを楽しむことが大切。

また、旅先やロングライド時に耐えられないほどの痛みに遭遇した場合は、無理せずそこでロードバイクに乗ることは諦めよう。無理して走ると余計に悪化させて長い間ロードバイクに乗れなくなってしまう。

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