初めての人でもよく分かる図解付き注油方法と注油が必要な箇所・してはいけない箇所

Lubrication method

チェーンを洗浄したあとは注油が基本。金属製のチェーンやギヤは注油することによって滑らかに動いてくれる。また注油することによってチェーンに被膜ができ、錆付き防止になる。加えてチェーンのこすれるような嫌な音なりを防止してくれるなど、絶対にやっておこう。
注油方法

はじめに

注油はロードバイクの基本となるメンテナンス

チェーンへの注油は基本的なメンテナンス。チェーンは金属製なので、注油をしないと滑らかに動いてくれなくなるし、そのままにしておくとチェーンのこすれるような嫌な音鳴りが出てくる。さらに、油の膜がなくなると錆が発生してしまい、軽快に走ることができなくなる。

単純に高級なホイールにアップグレードしたり、軽量なパーツに変えるよりもこまめにチェーンメンテナンスを行うほうが、ロードバイクで早く楽に走ることができる要素。基本にして最大のパフォーマンスを上げることができるので、ぜひやっておきたい。

注油前のクリーニングが効果を上げる

チェーンのオイルは汚れが付着しやすく、ホコリや路面からの砂、さらには金属同士の磨耗などによって真っ黒に汚れやすい。汚れがついたまま注油してもオイルの効果を発揮できない。そのため注油前には必ずチェーンのクリーニングを行うこと

放っておくと、チェーンの汚れはロードバイクを汚すばかりでなく、抵抗が増して走りも重くなっていく。

どれくらいの頻度で注油すればいいのか

雨天後の注油はできるだけ早いほうがいいが、晴れている時にしか乗らない場合は注油タイミングがなかなか分かりづらい。一般的に注油の頻度は2~3週間ごとといわれているが、これはあくまでおおざっぱな目安。

人によってロードバイクの使用場面や保管する場所、チェーンオイルの種類によって適正な期間は異なる。例えば晴れているときだけ乗るホビーレーサーと毎日自転車通勤に使う人では大きく異なる。

実際には期間で注油するのではなく、目視と指で触った感じで注油タイミングを測ることが適切だ。毎回ロードバイクに乗る前にチェックするのがベストだが、面倒でも1週間に1回はチェックすること。

チェック方法 注油タイミング
目視 チェーンが黒く汚れていたら
指で触る 汚れた油が付いていたら 
オイル抜けてカラカラに乾いていたら

注油時に準備するもの

チェーンに注油するオイル

チェーンに注油するオイル

チェーンに使うオイルといっても様々なものがある。大きく分けるとドライタイプとウエットタイプの2つ。それぞれ特徴があるので、自分のライディングスタイルに合わせたオイルを選びたい。

詳しくは後述しているので、それを参考に。

ヘッドのベアリング、BBのベアリング、ハブ、ペダルに使うオイル

ヘッドのベアリング、BBのベアリング、ハブ、ペダルはチェーンに使うオイルとは異なる特殊なオイルが必要になる。

ウエス

チェーンの洗浄やオイルの拭き取りに使う。特に注油しすぎると走行時にオイルが飛び散ってリムやスプロケットが油まみれになってしまう。注油後はウエスでオイルをしっかりと拭きとっておこう。

ウエス

ウエスは着なくなったTシャツや使わなくなったタオルでもいいが、毛羽立ったり糸がチェーンに引っかかったりなど適してはいない。

専門のウエスはオイルの吸収が良いので作業がしやすい。チェーンの洗浄時はもちろん、フレームの拭き掃除にも使え、簡単に破れることもないのでギアの間の清掃にも使える。おすすめはクレシアのワイプオール。適度な大きさと耐久性の高さなど、買っておいて損はない。

濡れても非常に破れにくく、ロードバイクのメンテナンス以外にも拭き掃除や濡れているものを拭くときなど、活躍の場は広い。さらに、掃除に使った後は洗えばまた使える耐久性を持っている。家に1セットあると非常に便利。

クレシアワイプオールX70レギュラー

価格:972円

チェーンクリーナー

注油する前にチェーンを綺麗にするためにチェーンクリーナーを使用する。

写真のタイプのチェーンクリーナーは、中にディグリーザーを入れて、チェーンを挟み込んで回転させて汚れを取る仕組み。チェーンの間の汚れは普通にやっても取りづらいので、このようなアイテムを使うと楽。

中にディグリーザーを入れて、チェーンを挟み込んで回転させて汚れを取るチェーンクリーナー

吹付けタイプのチェーンクリーナーは手軽

チェーンクリーナーには様々な種類があるが、吹付けタイプのものはチェーンの間に吹き付けて汚れを拭き取れるので手軽。

吹き付けるだけで、チェーンの汚れボタボタと落としてくれる。チェーンクリーナーを使うのが面倒な人は吹付タイプのものがおすすめ。

吹付けタイプのチェーンクリーナー

ただ、消費も早いので、コストパフォーマンスは高くない。また、吹き付けた液体が下に大量に垂れるので、汚れてもいいレジャーシートやダンボールなどを用意しておく必要がある。

コストよりもメンテナンスの容易さを選ぶ人向け。

KURE 自転車専用チェーンクリーナージェット

チェーンへの注油方法

1.チェーンクリーナーを使ってクリーニング

チェーンクリーナーを使ってクリーニング

注油前にチェーンの汚れを落としておく。チェーンクリーナーを使って、チェーンに付いた汚れを除去する。このとき、フレームに汚れがつかないようにフレーム側にも新聞紙やウエスをかけておくとよい。詳しくは「チェーン洗浄方法」を参照のこと。

参考リンク チェーン洗浄方法

チェーン洗浄器具を使うと汚れをきっちりと落としやすいが、洗浄後に使用した洗浄剤を乾かすことが必要なので、時間がない場合は吹き付けるタイプのチェーンクリーナーを使い、汚れを吹きつけて落とすだけでも十分。

2.クリーニング後のチェーンをウエスで拭く

チェーン洗浄剤や汚れがチェーンに付いていると注油の効果が落ちるので、ウエスでチェーンをウエスで拭いておく。

3.チェーンオイルをひとコマひとコマ注油する

チェーンオイルを注油しスプロケットやディレイラー部分にもオイルを潤滑させる。チェーン全てに注油するのではなく、チェーンのコマひとつひとつのリンク内側部分に染み込ませることが大切。チェーンプレートの外側に注油してもあまり意味がない。

オイルの量についてもポイントがある。オイルが多いとチェーンに汚れがつきやすくなるので最小限の量を意識する。理想は金属の表面が、むらなく薄くオイルでコーテイングされている状態だ。

なお、オイルの量を多くしすぎないために、重複して注油するのは避けたい。クランク3回転でおおよそチェーン1周なので、それを目安にするといい。

4.ギア全体にオイルをなじませる

チェーンに注油したあとはクランクを回転させながら1段ずつシフトチェンジをして、ギア全体にオイルをなじませていく。時間があるならこの状態で30分程そのままにしておくと更に良い。

5.余分なオイルを拭きとって終了

最後にチェーンの余分なオイルをウエスでしっかりと拭き取る。チェーン表面にオイルが残っていると周りに飛び散って汚れになるだけでなく、チェーン自体も汚れやすくなる。

注油が必要な箇所

自転車の性能を維持するには、日ごろのメンテナンスと注油が大切。しかし、自転車には注油してはいけない箇所も存在する。注油が必要なポイントと注油禁止ポイントがあるので、注意しよう。

注油が必要な箇所

注油が必要な箇所 説明
チェーン プレートよりもローラーの内側に浸透させることを優先に。スプレーオイルを使う場合はホイールにかけないように。スプレーオイルは便利だが周りにかかりやすいのであらかじめウエスなどで保護しておくとよい。
フロントディレイラー 各ピボット部に注油。プレートには特に注油する必要はないが、表面保護のために軽く注油してもよい。
リヤディレイラー ピボット部やワイヤー出口、プーリーの軸などに注油する。とくにプーリー軸は油切れを起こすことがあるので、忘れないように。
ブレーキ・シフトワイヤー ワイヤーの動きが渋くなった場合はアウターケーブルの切り口から、内部にオイルを注入。ワイヤーがむき出しの部分は、オイルをしみ込ませた布で軽くふいてやると良い。
各部レバーのピボット部 オイルが切れるとブレーキレバーやシフトレバー動きが渋くなる。ものぐさな人はオイルの代わりにグリスを塗ると良い。
前後ブレーキのピボット部 ピボット部やワイヤー出口、クイックレバー部分などに注油。シューには絶対にかけないように、ウエスなどで保護して作業する。
スプロケット 特に注油は必要ないが、錆止めのためにスプレーする。この場合、かけすぎとホイールへのオイル垂れに注意。

注油してはいけない箇所

ハブやボトムブラケットなど、回転部のペアリングにはグリスが使われており、オイルでグリスが溶けて流れてしまうので注油はしない。とくにBBやハブの内部など、注油をすると元に封入してあるグリスが流れ出てしまう。

グリスアップをする場合はベアリングの分解作業は初心者には難しい作業なので、自転車店に依頼したほうがいい。

注油してはいけない箇所

注油してはいけない箇所 説明
ブレーキシューとリムサイド オイルが付くとブレーキがきかなくなる。万が一オイルが付いた場合はディグリーザーやアルコールなどでふき散る。
ヘッドパーツ ペアリングのグリスを流さないように。
ペダルシャフト 注油してペアリングのグリスを流さないように。ビンディングペダルのメカニズムには注油可能。
ボトムブラケット 注油によってベアリングのグリスを落とさないようにする。
タイヤ トレッド面にオイルが付くとスリップの原因になる。また、ゴムの劣化の原因にもなる。
前後ハブ 注油してしまうとベアリングのグリスを流してしまう。クイックレバーとクイックシャフトには注油可。

どんなオイルを使えばいいか

チェーンオイルはその名の通りチェーンに使用するオイル。非常に多くの種類があるが、おもに潤滑の継続時間や粘度、付着物への耐久性などに差がある。大きく分けると違いはオイルがサラサラしているかベトベトしているか、また、スプレーなのかリキッドなのかだ。

とはいってもどのように選んでいいのかわからないので、最近のメーカーが通勤・通学用、長距離、雨天時用、ロードレース用と用途別に分けている。自分の使用用途や気象条件などで使い分けるが、全天候型のタイプもあるので、迷ったらそれでもいい。

タイプはドライタイプかウエットタイプか

ドライタイプのオイルはサラサラして汚れにくいが雨で落ちやすい。ウエットは雨で落ちにくいが粘りがあり汚れやすい

ドライタイプのオイルの特徴

ドライタイプはオイルの浸透・定着するスピードが早く、ペダリングも軽くなると言われている。

ただし揮発成分が多いため、リンクの奥に届く前に定着してしまうので、ウエットタイプよりも多めの注油が必要。水に流れやすい特徴もあり、こまめに掃除&注油する人におすすめ。

ウエットタイプのオイルの特徴

ウエットタイプは粘度が高く浸透に時間が掛かるが、定着性がいいので多少の水圧でも流れずにチェーンのリンク内にオイルがとどまる。耐久性が高いので頻繁に注油をしない人や屋外に駐輪している人におすすめ。

スプレーかリキッドタイプか

スプレーするか、1滴ずつ滴下するリキッドタイプか。速いのはスプレーだが、リキッドのほうが飛び散りにくい。

スプレータイプは、飛び散りやすいのでチェーンステーの下側でつける。ウエスをあてがつてリムにつかないように。リキッドタイプはチェーンのひとコマずつリンクの内側に入るように差していく。

おすすめのオイル

フィニッシュライン セラミック ウエット ルーブ

フィニッシュライン セラミック ウエットルーブ

価格:1,280円+税

タイプ:リキッドタイプ

容量:120ml

注油頻度が多くない人や屋外に駐輪している人はできるだけオイルが落ちにくいものを選ぶことが重要だが、このセラミックウエットルーブはウエットタイプなのに汚れにくい性質を持つ。使用前には容器を振って、中身を混ぜてから使用すること。

一点マイナスポイントとしては蓋が開けにくいこと。慣れてしまえば大きな問題ではないが、はじめての人は開けるのに戸惑うだろう。

ナスカルブ 潤滑剤スプレー

ナスカルブ 潤滑剤スプレー

価格:2,360円

形式:スプレータイプ

容量:70ml

潤滑剤はチェーン用オイルと、パーツ可動部用のスプレー式オイルの2タイプが基本。1本で済ませたいという人なら、ナスカルブがオススメ。チェーンだけでなくすべての可動部に使える。

さらに、チェーンをディグリーザーで洗った場合は、洗浄後にしっかりと水やパーツクリーナーで表面やリンク内部のディグリーザーを洗い流してから注油する必要があるが、ナスカルブのような水置換性のあるオイルは、洗車や雨中走行で濡れた状態で注油しても効果を発揮するので、乾くまで待つ必要はないので超便利。

特に、雨天時に走行後、体が濡れているとメンテナンスが面倒なのでチェーンへの注油は後周りになりがちだが、このオイルであれば、家に帰ったらとりあえず、ささっと注油するだけでいいので、一本は持っておきたい。

ワコーズ メンテループ多目的潤滑スプレー

ワコーズのメンテループは多目的オイルで、1本持っておけば汚れ落としとしても、チェーンオイルとして使える。浸透し、潤滑する場所にとどまる性質も持つ。さらに水置換でもあるので水分と置き換わり、防水するという効果もある。

汚れ落としの性質もあるので、汚れた状態でも、スプレーすれば汚れも落とせる。パーツクリーナーでクリーニングするのは面倒という人は、これだけでもある程度のクリーニング効果は期待できる。ただ、チェーンオイルに比べると割高。

ワコーズ メンテループ多目的潤滑スプレー

価格:1,866円

形式:スプレータイプ

容量:220ml

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