ギアが勝手に変速したり、うまく変速できなくなったりした時に行うディレイラーの調整方法

Method of adjusting the derailleur

ロードバイクでシフトチェンジしようとしてもうまく変速しない場合や、走行中にディレイラー部分から異音がするなどのトラブルの場合、ワイヤーが伸びていることが多い。

ワイヤーは走っていると自然と伸びていくものなので、誰でもいつかは同じトラブルに遭遇する。ここでではその調整方法を紹介する。特殊な器具もいらないので覚えておいて損はない。

ギアが勝手に変速したり、うまく変速できなくなったりした時に行うディレイラーの調整方法

シフトチェンジやブレーキ時に違和感がある場合はワイヤーの張りが問題になっている可能性も

ロードバイクのブレーキやディレイラーは、ワイヤーを張り引っ張ることで動かしている。シフトチェンジする場合は、ワイヤーが引っ張られるとギアは軽くなっていき、張りが解除されるとディレイラー内のバネの力で戻っていくというのが基本的な仕組み。

時間がたつにつれ、細い金属線が集まってできたワイヤーは、力がかかると伸びてしまう。ワイヤーが伸びるといっても非常に微妙な伸びだが、シビアな調整が必要なロードバイクでは、この微妙な伸びを無視できない。

微妙に伸びていたとしてもロードバイクが動かなくなることはないが、シフトチェンジ時に滑らかな変速ができなくなったり、走っていると突然ギアが切り替わるなど、ストレスになったり困ったことが起きる場合も。

調子がおかしいと思ったらペダルを回しながら3つの項目を確認

シフトチェンジがきちんと行われているかを確認するには、走行しながらだけでなく、メンテナンススタンドにロードバイクを設置して、ペダルを手で回しながら確認する。チェーンや変速の音をしっかり聞くとともに、チェーンがスプロケットの上を滑らかに動いているかも確認しよう。

以下の3つの項目を確認して、いずれかに当てはまるのであればワイヤー調整を行おう。

1.シフトチェンジがスムーズにできない

シフトチェンジをしてもしっかり変速しない、チェーンがギヤの上に乗ったままスプロケットにはまらないなどがないか。変速してもすぐに戻ってしまう場合も注意。

2.走行中に異音がする

通常の走行音とは違う、なにかに接触している音がしないかを確認する。正常状態のチェーン周りの音をしっかり覚えておくと判断しやすいだろう。ワイヤー以外の部分から異音がする場合は「ロードバイクから異音がする場合のチェック項目」を参考にメンテナンスを行おう。

参考リンク ロードバイクから異音がする場合のチェック項目

3.勝手に変速する

走行中にシフトチェンジをしていないのにギヤが勝手に重くなってしまうことはないか確認する。これはメンテナンススタンドに乗せた状態では確認できず、実際に走ってみてペダルを踏んだときの足の感覚や、チェーンが変速する音に注意してみよう。

アウター調整ボルトを使ってワイヤーの張りを調整する方法

アウター調整ボルトを使ってワイヤーの張りを調整する方法

リアディレイラーは、ガイドプーリーが左右に動くことによってトップからローまでシフトチェンジしていく。この左右の動きを支配するシフトワイヤーの張り具合を調整するのがアウター調整ボルトだ。この調整ボルトを回すことで、ワイヤーの張りの調整を行える。

調整といっても、まずはワイヤー固定ボルトでしっかり張ることが大事で、そこでできない微調整を行うのが目的だ。

難しそうに見えても伸びたワイヤーを少し張る調整を行うだけで、作業は伸びを確認しながら少しづつボルトを回すだけ。メンテナンススタンドさえあれば他のメンテナンス道具もいらないのでハードルの高い作業ではない。

ギヤがトップに落ちやすい(重くなる)場合はワイヤーを張る→右方向に回す

ギアが勝手に変速したり、うまく変速できなくなったりした時に行うディレイラーの調整方法

ギヤがトップに落ちやすい(重くなる)場合は、ワイヤーが緩んでいる可能性がある。右方向に調整ボルトを1/4回転ずつ徐々に回し、ワイヤーをピンと張り、変速の具合を確認していこう。

ギヤがトップに落ちにくい(重くならない)場合はワイヤーを緩める→左方向に回す

ギアが勝手に変速したり、うまく変速できなくなったりした時に行うディレイラーの調整方法

ギヤがトップに落ちにくい(重くならない)場合は、ワイヤーを張りすぎている可能性がある。左方向に調整ボルトを1/4回転ずつ徐々に回し、少しずつ緩める。緩めるたびに変速の具合を確認しよう。

ローアジャスターボルトの調整で改善されない場合は、ストロークの調整を行う

ワイヤーの調整をしても変速の具合が改善されない場合は、ここを見直してみるといい。調整にはプラスドライバーが必要。

調整のやり方のポイントは、実際にシフトチェンジをしながら、位置を目で確認すると同時に、耳でも聞いて音でチェックすることだ。まず全体の位置決めをしたら、ペダルを回して動かしながら本調整をしていく。

基本的には各ギアともガイドプーリーが真下にくるようにする。また、シフトチェンジの際、上りも下りもスムーズにギアが入っていくようにしていく。

ストローク調整

L(ロー)側の調整

ローアジャストボルトを時計回りに回せば右方向、反時計回りで左方向へケージが動く。ガイドプーリーがローギヤの真下にくるように調整。緩いとチェーンが落ちるので注意。

H(ハイ)側の調整

トップアジャストボルトを時計回りに回せば右方向、反時計回りで左方向へケージが動くガイドプーリーがトッブギヤの真下より、ほんの少しだけ外側にくるように調整する。

ロードバイクを買ったばかりの時は初期伸びが起こりやすい

新品のワイヤーに交換したときなど、しばらく乗ってから変速の調子が悪くなるのは「初期伸び」の可能性がある。使い始めのなじみ出しのようなものだが、これも微妙な伸びによるもの。そんなときも調整ボルトを回して微調整すれば、ワイヤーの伸びを解決することができる。

これでも改善されない場合は、パーツ交換が必要な場合も

ディレイラーの調整を行い、ワイヤーの張りを適切に行ってもシフトチェンジがスムーズにいかない場合がある。その場合は原因を追究し、パーツの交換を検討しよう。

ワイヤーが劣化していれば、ワイヤー交換が必要だ。また、変速がおかしい場合の原因はワイヤーだけではない。ワイヤーの交換が適切かどうかも判断しよう。ブレーキワイヤーが効かなくなることは非常に危険だ。自分でできない場合はショップですぐに交換してもらおう。

ワイヤーが劣化している場合

ワイヤーは消耗品だ。一般的に5000kmがワイヤーの交換時期といわれている。それぐらいの距離を走っているのであれば、ワイヤーの劣化の可能性がある。何かあってから交換するというのではなく、事前に交換しておけば万が一のトラブルを避けやすい。また、走行距離が短くても徐々に劣化していくので、走らないから交換しないというのは間違いだ。

一方で、ワイヤーがほつれている、さびてしまっている場合は即交換だ。動きがスムーズでない上、走行中に切れてしまう危険性もある。交換してキレイに張り直そう。

ワイヤー以外のパーツが消耗している場合

ワイヤーがきちんと張られていても、チェーンが伸びたり、スプロケットが摩耗したりしているもしっかり変速しない。ワイヤー調整をしてもシフトチェンジがスムーズにできない場合は、ワイヤー以外のパーツが原因の可能性も疑うようにしよう。

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