仏式バルブへの空気の入れ方と最適な空気圧

Inserting of air

タイヤに空気を入れることはもっとも多く行うロードバイクのメンテナンスだ。ロードバイクのタイヤは3日ぐらいで8~6割くらいまで空気が抜けてしまうので、頻繁に空気を入れる必要がある。
仏式バルブへの空気の入れ方と最適な空気圧

空気入れはもっとも頻繁に行なうメンテナンス

ロードバイクは空気が抜けていきやすい

普通の自転車は、空気を1度入れてしまえば半年はもつので、たまに街の自転車屋で借りて補充すれば大丈夫だ。

しかしロードバイクのタイヤは細く、空気は高圧で入れられている。またチューブは軽くするため薄い。ブチルゴムのチューブであっても空気は抜けていく。そして、2週間もすればタイヤが柔らかくなってしまうし、チューブによっては翌日には抜けているということもある

空気圧がなくても走れるがデメリットが多い

普通の自転車の多くがそうであるように、ロードバイクも空気が十分に入ってなくても走ることはできる。だが、走行時に充分なエネルギー伝達が行われず万全の走りを実現できないし、空気が少ないとパンクしやすくなるというデメリットがある。

普通のタイヤとは空気の入れ方が違う

通常の自転車からロードバイクに乗り換えたときに注意したいのが空気の入れ方。せっかくロードバイク専用の空気入れを買っても、見たことのないバルブを前にして困惑する人は意外と多い。

仏式バルブ

ロードバイクのタイヤで使われているものは仏式バルブ。高圧に対応でき空気圧調整しやすいのが特徴だ。栓は高圧で圧着しているので、空気を入れる際には指で一度押し下げる必要がある

タイヤごとに適正空気圧が決まっている

自転車のタイヤは空気圧と、搭乗者の体重によってタイヤの接地面積が決まる。高圧で接地面積が少ないほど速度を出しやすいため、ロードバイクのタイヤは高圧を要求される。 そして、空気圧の少ない状態で段差等に乗り上げるとパンクしやすい。充分な空気圧を維持して快適なライディングを楽しもう。

最適な空気圧とは

同じタイヤでも、空気圧を変えることで乗り味が大きく異なる。主に下のような特徴があることをまずは覚えておこう。

空気圧が高いと 空気圧が低いと
地面とタイヤの接地面が少なくなり、衝撃吸収性、乗り心地共に悪くなるがパンクしにくくなる。 地面とタイヤとの接地面が広くなり、しっかりと地面をグリップする走りになり、乗り心地はよくなるが、パンクの危険性が高まる。

具体的な数値目安

タイヤの性能を発揮するための空気圧のことを適正空気圧という。ロードバイクタイヤの適正空気圧はおおよそ6気圧から8気圧の間だが、各タイヤによってこの値が異なり、タイヤ側面に表示されているのでそれを目安とするといいだろう。乗っているうちに自分に適した空気圧がわかってくるが、最初は7気圧を目安にするといいだろう

空気圧の表示は「bar」「kpa」「psi」と3種類が採用されており、barは欧州表示。日本で7気圧といえば7barだ。psiはポンドを使う米国式。0.07を掛けるとbarとほぼ同じ数値。

以下の画像ののタイヤには120psi maximumと記載されているが、120✕0.07=8.4なので、8.4気圧が最大空気圧ということがわかる。

タイヤ側面

もう一つの例としては以下の画像のように「MAX INFLATION 8.5BAR-120psi」と両方の単位が記載されているタイヤもある。これは最大8.5気圧ということ。タイヤによっては非常に見つけづらいものもが、きちんと確認して、適切な空気圧を守ること。

タイヤ側面2

空気入れのゲージは複数の単位に対応できるようになっているので、確実に適性空気圧の範囲で空気を入れよう。

空気入れのゲージ

体重によって目安の空気圧が変わる

もちろん体重によって乗ったときにタイヤが少しつぶれることも考慮する必要がある。以下を目安に自分の好みの空気圧を探すといい。

体重の重い人 体重の軽い人
高めの空気圧 低めの空気圧

空気圧の決め方としては、タイヤの適性気圧範囲のうち高いほうから試してみるといい。ただし極端な空気圧はトラブルの元になるから、あくまでタイヤの適正気圧の範囲内で見つけること。

空気圧が高すぎる・低すぎる場合のトラブル

高すぎ 低すぎ
適性空気圧を超えて空気圧が高すぎると、チューブが破裂する危険性がある。また長時間高い空気圧が続けば、タイヤのひび割れなどにもつながる。 空気圧が低すぎると、段差とリムの間にチューブがはさまってしまいパンクしてしまう危険性がある。

空気の入れ方

空気の入れ方は通常の英式バルブとは違うとはいえ、そうややこしいわけではない。慣れさえすれば簡単に素早く空気を充填できる。なお、空気入れは仏式バルブに対応したゲージ付きフロアポンプを選ぶこと。詳しくは「手頃な価格で手に入る、おすすめの仏式バルブ対応空気入れ」「空気入れの選び方」を参考に。

参考リンク 手頃な価格で手に入る、おすすめの仏式バルブ対応空気入れ

参考リンク 空気入れの選び方

気をつけるべきは、バルブをゆるめた後に空気が通るように上から押して空気抜きを行うこと。きちんと空気抜きをしておかないと、いくら頑張っても空気は入らない。もう一つはポンプの口金をバルブに入れる。この口金の構造がポンプによって違うのも初心者が迷いやすいところだ。

1.適正空気圧の数値をチェック

タイヤの側面には適正空気圧が表示されているので、空気を入れる前に確認する。psi、bar、kpaなど書かれている文字が違うことがあるため、所持しているゲージの単位を読むようにする。

2.キャップを外して先端のネジを緩める

キャップを外して先端のネジを緩める

バルブ先端のキャップを外し、さらに先端部分がネジになっているので時計回りに回して緩める。

外したキャップを無くしてしまうことも多いので、平らな場所に立てて置いておくことを忘れないように。ポケットに入れると付け忘れる。なお、詳細は後述するが、キャップがなくてもそこから空気が抜けることはないので、無くしたからといって新たに購入する必要はない。

3.先端部分を押して空気を抜く

緩めた先端部分を指先で押すと空気が抜け、ナットと栓が下がり、グラグラの状態になる。これを行わないと空気の通り道ができず、うまく空気が入れられない。忘れずにやっておこう。

4.ポンプの口金をバルブにセットしてレバーで固定する

固定した図

口金をバルブに当ててグッと押し込んだあと、レバーを立てることで、バルブから抜けなくなる。逆のタイプで寝かせてロックするタイプもある。

5.ポンプを足で固定してストロークする

バルブが固定できたらポンプの根本のステップを踏んで固定して、両手でポンプのグリップを持って上下にストロークする。下までしっかりと押し下げないと空気は入らないので注意。ゲージを参考に適正な空気圧まで入れること。

仏式バルブのキャップやリムナットは必要か

空気入れを何度か続けているといつの間にかキャップが無くなっていることもある。では、キャップは本当に必要かどうかを紹介する。

キャップ

キャップは、バルブのロにゴミや水などが浸入しない目的で付いている。さらに、仏式バルブの先端にあるプランジャーは英式バルブなどに比べて小さな部品でできていて、曲がったり破損したりすると、栓がしっかり閉まらず空気がそこから漏れていく。そのため、キャップをつけて破損を防ぐ。

とくに、輪行の際や車に乗せて運搬する際は、バルブがフレームやほかのパーツに接触することもあり、強く接触すると破損につながるため、できるだけキャップは装着しておこう。

リムナット

リムについているナットは、タイヤの空気圧が低い場合に管の部分が斜めに倒れることがあるが、その際にリム穴の縁でチューブが損傷するのを防ぐ役目がある。もう一つの役目として、ポンプの口金が差しやすくなるという役目もある。

なお、リムナットはエ具で締めるとバルブステムとチューブの接合部を損傷する危険があるため、指でしっかりと締める程度に固定すること。

チューブレスタイヤ用の空気入れがある

チューブレスタイヤを使っている人も昔に比べて増えてきている。しかし、徐々に空気を入れる従来の空気入れではホイールとタイヤの相性によってはビードが上がりづらい組み合わせもある。

そんな問題を解決するため、エアタンクを設けてそこに空気を充填しておき、一気に放出させることでチューブレスタイヤのビードを上げる機能を持たせたフロアポンプも存在する。

また既存のポンプに後付けできるタイプのタンクもある。空気入れを持っているなら、チューブレスタイヤ用の空気入れをわざわざ買う必要はない。後付けタンクなるものを購入すれば、手持ちのフロアポンプがチューブレスタイヤ用になる。

まとめ

空気入れは頻繁に行う必要があるが、きちんとした空気入れならそう面倒なものでもない。一方で携帯用ポンプやゲージのないものなどで空気を入れると、非常に煩わしい作業になることも事実だ。「手頃な価格で手に入る、おすすめの仏式バルブ対応空気入れ」「空気入れの選び方」を参考にきちんとした空気入れを選び快適に作業できるようにしておこう。

参考リンク 手頃な価格で手に入る、おすすめの仏式バルブ対応空気入れ

参考リンク 空気入れの選び方

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