楽にチェーン洗浄を行いたいなら噴射式のチェーンクリーナーが便利

If you want to easily clean the chain, the jet type chain cleaner jet is convenient.

チェーンへの注油はロードバイクのメンテナンスで非常に重要な項目だが、注油の前にチェーンの汚れを落としておく必要がある。チェーン洗浄は面倒だが、ジェット噴射タイプのクリーナーがあれば楽にチェーンを洗浄できる。ここではジェット噴射タイプを使った洗浄方法などを紹介する。
楽にチェーン洗浄を行いたいなら噴射式のチェーンクリーナーが便利

チェーンクリーナージェットの特徴

KURE556という名前は聞いたことがある人も多いが、そのKUREがリリースしているスプレー噴射タイプのチェーンクリーナーがこの商品。定価は1,676円。自転車店やホームセンター、オンラインショップなどで販売されている。

高い洗浄力

チェーンクリーナージェットの一番の特徴は、チェーン洗浄力の高さ。ボタンを押すことで、洗浄成分を含んだ溶剤が、ジェット噴射によりチェーンに付着した頑固な汚れを隅々まで素早く洗浄してくれる。

KURE556でおなじみの細いノズルが最初から付いているので、思い通りの場所に噴射できるため、洗浄剤のロスも少ない。

KURE556でおなじみの細いノズルが最初から付いている

チェーンの内部まで洗浄

洗浄できる箇所は、チェーンの見えている汚れだけでなく、チェーン内部にある汚れも洗浄してくれる。というのも、洗浄成分は中乾性のため、チェーンの奥まで届き、汚れを溶解してくれるから。

さらに、溶解した汚れは液体として落ちたり、ジェット噴射で物理的に飛ばしたりしてくれるので、落とした汚れがそのままチェーンに残ることを防いでくれる。

洗浄方法が非常に楽

洗浄方法は噴射するだけと非常にシンプル。他のチェーンクリーナーだと、洗浄機器に洗浄液を入れてチェーンを回し、洗浄液を入れ替えてチェーンを回して……というような機器を使ったチェーンクリーナーでの洗浄方法とは比べ物にならないぐらい簡単。

しかも、キレイに汚れを落としてくれる。簡単作業で銀色のチェーンが復活するのはうれしい。

チェーン以外の箇所も

チェーンに付いた洗浄液はスプロケットやディレーラー、プーリーにも浸透し、それらの箇所の汚れも(チェーンに付着した形で)落としてくれる。

さらに、洗浄剤に防錆剤が含まれているので、使用後に放置してもサビにくく、パーツを傷めにくいのもうれしい。ただ、チェーンに注油するのは必須だと思っておくこと。

使い方

走行距離や使用場面にもよるが、1ヶ月に1~2回ぐらいの頻度で洗浄するのがおすすめ。

定期的にロードバイクのメンテナンスを行っていても、雨天後など、路面状態が悪い場合に走行すると、チェーンがドロドロになりやすく、チェーンの油分切れも考えられる。そのような場合には、定期的なロードバイクのメンテナンスとは別に、フレームの清掃とともに、チェーンの洗浄も併せて行いたい。

前準備

作業に必要なものは、チェーンに付いた汚れを拭き取るためのウェス。これがないと汚れを拭き落とせない。

汚れは周囲に付着するため、雑巾やダンボール、使わなくなった布、新聞紙など、床やフレーム、ホイールを養生するものが必要。

他にも、メンテナンスグローブやメンテナンススタンドも必要。

床やロードバイクを養生する

ちょっと長めのダンボールをチェーンとホイールの間に入れて、噴射した汚れがホイールに付着しないようにするとともに、洗浄剤がボタボタと落ちるので、床面にダンボールを引き、その上に洗浄剤を染み込ませるための新聞紙or布をおいて地面の汚れを防ぐ。

自分自身の汚れ対策

汚れが手につくと取れにくいので、作業用の手袋を準備する。軍手では洗浄剤やオイルが染み込むこともあるので、手の平側が防水加工されたものが良い。

あと、汚れが飛び散りやすく、身体にも付着することもあるので、汚れてもいい服装で作業を行うこと。白いシャツに洗浄時の汚れがつくと、ほぼ取れない。

必要なもの

  • ウェス
  • 養生するためのダンボールや布、新聞紙、ぞうきんなど
  • メンテナンスグローブ メンテナンススタンド
  • 毛足の長いブラシ(チェーン専用のブラシならなおよし)・使い終わった歯ブラシ

チェーンに噴射

チェーンに噴射

洗浄方法はシンプルで、チェーンクリーナー本体をよく振り、ノズルを使ってチェーンの内側(ギアに当たる側)だけに噴射する。外側はチェーン内部の汚れを拭き取る過程でキレイになるため、噴射する必要はない。

チェーン1周分の噴射が完了したら、その後、ウェスで汚れと洗浄液を拭き取る。この作業時に、チェーンのプレート外側も掃除する。

簡易な方法であればこれで十分。噴射する量は少量でもキレイになる。この使い方であれば1ヶ月に2回使って2~3ヶ月くらいは持つ。

メンテナンス頻度が高く、チェーンの汚れもそうひどくないのであれば、噴射する量も少なくて済むし、養生も雑巾レベルのもので十分という場合もある。ただ、メンテナンス頻度が低い場合や、チェーンが黒くドロドロに汚れている場合は、使う洗浄剤の量も多くなるので、しっかりと養生する必要がある。

ギアの場所

チェーンを洗浄する際、ペダルを逆回転してチェーンを逆回転させながら洗浄する。そのため、ギアはフロントとリアでチェーンが並行になるようなギアにセットしておくこと。こうすることで、洗浄中にチェーンが外れることを避けることができる。

更にキレイにしたい場合はブラシを使う(さらに経済的)

汚れがなかなか落ちない場合や、こびりついている汚れがある場合は、洗浄剤の噴射量を増やすのもいいが、ブラシを使うと効果的だし経済的。チェーン専用の3面ブラシでもいいし、100均に売っている毛足の長い硬めのブラシでもいい。

まず、チェーンクリーナーをチェーン1周分噴射して全体的に軽く汚れを落とし、ブラシの毛足が内部に入るようにしてチェーンを回転させて内部の汚れを落とす。残っている汚れは、使い終わった歯ブラシなどで落ちにくい汚れをこすり、最後にもう一度本製品を噴射で汚れを落とす。

この方法だと、普通に洗浄するよりキレイになる。チェーン内部に入り込んだ汚れも、さらに取り除かれやすくなる。なにより、洗浄剤を使う量が減るので、経済的でもある。

チェーン以外の箇所の洗浄

プーリー部分の洗浄

プーリーはロードバイクパーツの中、最も回転している部分である一方、地面からの距離も近く、チェーン洗浄に意識が集中しすぎて、洗浄される機会も少ないので、汚れが堆積し固まっていることも多い。

プーリーに汚れが溜まってしまうと、チェーンをキレイにしていても、プーリー部分が運動エネルギーのロスの原因になってしまう。

チェーンクリーナーでチェーンを洗浄する際、洗浄剤がプーリーにも浸透しているので、プーリーについた汚れも拭き取って落としておくことも忘れずにやっておきたい。

汚れが固まってしまっている場合は、洗浄液が浸透した後、割り箸の平たい部分でプーリーに傷をつけず丁寧にこそぎ落とすこと。

直接チェーンクリーナーを吹き付けたい衝動に駆られるが、そのような方法を実施したいのであれば、「パーツクリーナーマルチ」を用いたほうが、プーリーへのダメージを減らす意味でも正解。

スプロケットの洗浄

スプロケットもこのチェーンクリーナーで洗浄できる。もちろん、スプロケットを外して洗浄するのがベストだが、装着したままでも十分キレイにできる。

まずはスプロケット部分にチェーンクリーナーを吹きかける。全体に溶剤が行き渡ったら、スプロケットの間を、ウェスを2cmほどに切断して、こより状に細く加工したもの(洗浄前に準備しておくこと)を使って磨く。他にも、毛足が長い硬めのブラシで磨いてもいい。

洗浄液は少量でいい

なお、スプロケット洗浄時に吹きかける量は少量でよい。チェーン洗浄時のように汚れが落ちるまで吹きかける必要がない。

拭き取りが面倒であれば、先に紹介したパーツクリーナーを用いれば吹き付けるだけで洗浄が完了するが、別途購入する必要もあるので、多少面倒だが、この方法で洗浄したほうが経済的。

コストパフォーマンスは良くない

使える回数はそう多くない

吹きかけるだけでチェーンがキレイになるため、楽しくて大量に噴射することもあり、使用できる回数はそう多くない。

初めて使う場合はあっという間になくなる

特に、初めて使った時はその汚れの落ち方に感動して、チェーンを何周も吹きかけて、洗浄剤が完全な透明な液体になるまで何度も洗浄液を吹きかけてしまうだろう(そしてあっという間に1本を使い切ってしまう)。

そのため、このチェーンクリーナージェットは、1本で半年持つというようなチェーンクリーナーではない。使い方にもよるが、2回から6回ぐらいで空になる。コストパフォーマンスとしては良くはない部類。

便利すぎるので作業の手間まで考えると……

とはいえ、一度この商品を使い始めると、普通のチェーンクリーナーには戻りにくい。作業の手間まで考えれば、楽だしすぐ終わるし、非常にキレイになるので、(考え方によっては)コストパフォーマンスは良い(と思うようにしている)。

洗浄後注油を忘れないように

汚れを落とした後のチェーンは、オイルによる被膜も汚れと一緒に落ちている状態なので、油膜で保護されていない状態とも言える。そのため、チェーンオイルを用いて注油することが大切。

なお、チェーン洗浄後にすぐ注油をするのではなく、チェーンが乾いていることを確認してから注油を行うこと。そうでないと、注油の効果が大幅に落ちてしまう。幸いなことに、チェーンクリーナージェットは防錆剤を含んでいるので、焦って注油する必要はないが、乾いたら必ず注油したい。

注油しないと進む力にロスが出るだけでなくサビやすくなる

チェーンに注油されていない状態では、ペダルに同じ力を掛けても、注油されていない状態に比べて、進む力が減る。さらに、油膜で保護されている状態ではないので、徐々にサビてしまう。(なお、チェーンが汚れたままだと、進む力はさらに減少する)

ワックスとオイルの違い

注油するためのチェーンオイルには、オイルタイプとワックスタイプが存在している。ワックスはベタベタしないのでゴミが付きにくいとされている。

オイルタイプにも複数の特徴があり、長い間油膜を維持できるがベタベタなウェットタイプと、油膜を維持できる期間は短いが、汚れを集めにくいドライタイプとある。

ワックスは低負荷で走行するのに適しており、オイルは高負荷で走行するのに向いている。自分の走行パターンに適したものを選びたい。

チェーンの汚れは泥やホコリだけでない

チェーンの汚れは地面の泥やホコリが集まったものが大部分だが、ロードバイクを室内だけで使い続けてもチェーンは汚れてくる。これは、使い続けられたチェーンオイルの中の成分が摩耗によって黒く変色するため。

チェーンが黒く汚れてきたら、チェーンオイルが切れてきていることなので、洗浄して注油することが必要。

注意点

室内での作業はおすすめしない

洗浄剤の匂いはそこまで強くないのだが、チェーンをキレイにするための洗浄剤は、大量に使うと汚れた液体となってボトボトと落ちるので、室内での作業はおすすめしない。

養生はしっかりと

チェーンがドロドロな状態のものを洗浄する際はしっかりと養生することを忘れないように。例えば、ロードバイクを駐車場内で洗浄する場合、吹き付けられた洗浄剤がコンクリートに付着してしまうとなかなか落とせないので、十分に養生してから作業を行うこと。

スプロケットやプーリーに吹きかけると汚れが思いもよらぬ場所に飛び散ってしまうので、気になる人は周囲にビニールシートを引いてから作業したい。

簡単でキレイになるメリットが大きすぎる

一番の方法としては、こまめなチェーンメンテナンスを行うこと。こうすることで、洗浄剤の量も少なくて済み、前準備の手間も減ってくるので、更に楽にチェーンをキレイにできる。

さらに、他のチェーンクリーナー機器を用いて洗浄するよりも圧倒的に簡単で、キレイにできるメリットには勝てない。超おすすめする。

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