ロードバイクから異音がする場合のチェック項目

Items to check if the abnormal noise from the road bike

ロードバイクにしばらく乗っていると気になってくるのが異音だ。タイヤからの異音や、チェーンからの異音、サドルやハンドル、ブレーキなどから出る異音は、ロードバイク本体に何か起こっている証拠。そのままにしておくといずれは大きなトラブルにつながる可能性が高い。ここではパーツごとの異音の原因とその対処法について紹介する。
ロードバイクから異音がする場合のチェック項目

はじめに

走行中に異音がする時はなにか異変があると考える

ロードバイクで走っている最中にロードバイク本体から異音が聞こえたり、路面がガタガタしていないのにも関わらず不自然な振動を感じた時には、どこかに不具合が生じていると考えたほうがいい。

異音が発生する理由は様々だ。注油不足、ワイヤーの緩み、ハブ回転部のガタつき、バルブとリムの接触や、スポークの緩み、またはスピードセンサーとマグネットが接触している場合などが考えられる。

メンテナンス不足からくる異音もあるが、走行中に引き起こされる異音もある。ロードバイクは走っている問、細かい振動が連続して起こっている。その繰り返しが大きな力となり、接合部分を緩ませる原因になるのだ。

原因がわからなくてもしっかりと調べること

枯れ葉がホイールに挟まっている場合やブレーキシューとホイールの間になにか挟まっている場合はすぐに発見でき、異物を取り除くだけでいいので対処は簡単だが、異音はするけどトラブルが何かがわからないことは多いため、そのままにしている人もいるかもしれない。

体の不調は時が経てば勝手に治るが、ロードバイクについては症状が勝手に治るということはない。最初のうちはそう大きくないトラブルであっても、放っておけパーツの破損や、破損が原因による転倒などのトラブルに発展してしまう。

そのため、走行中に異音や通常起こるはずのない振動が感じられたときには、まずはロードバイクを停車させトラブルの正体を突き止め、早期の解決に努めたい。

パーツごとに原因を調べてみる

とはいえ、音や振動だけではどの部分のトラブルかは分かりづらいので、ここではロードバイクパーツ箇所別に「音」や「振動」の例を紹介する。また、明らかに異音や振動がする場合はもちろん、走行中の違和感がある場合も万全の注意を行いたい。違和感の正体はロードバイクの異変の兆候であるからだ。

ハンドルやステムから異音がする場合

ハンドル周辺の異変はいくつか考えられるが、それを聞き分ける最も簡単な方法がある。サドルから降りた状態でハンドルを握り、前輪を2cmから3cm浮かせる。その状態で平らな面にそのまま落してみて音やガタツキがないか確認する。ハンドルやステムまわりがガタついていたり、適切な整備でなかったりする場合にはその周辺から音がする。

症状・異音 原因 対処法
カタカタ/ガクカク クランプ部分の緩みやガタつき
  • ヘッド小物の不具合の可能性やステムのバークランプ部の緩みの可能性あり。
  • スレッドステム形式:へッド小物の緩み、ペアリングの不具合の可能性。
  • アヘッド形式:アンカーボルト、アンカープラグの緩み、ペアリングの不具合の可能性。
  • 調整するか分解してチェック後に正常な状態にもどす。
グラグラ/ハンドルが曲がる 圧力調整ボルトの緩みやガタつき
  • アヘッド形式:アンカーボルト、アンカープラグの緩み、ベアリングの不具合かの可能性。
  • 調整するか分解してチェック後に正常な状態にもどす。
カクンカクン ハンドルバーとのクランプ径が合っていない
  • ステムクランプ径に合ったハンドルバーに交換する。

ホイールから異音がする場合

ホイールのチェック方法はハンドルやステム部分のチェックと同じく、少しタイヤを浮かせて平らな面に落すという方法で確認する。前輪周辺から異変が感じられるのであればフォークやハブのまわりのトラブルが考えられる。後輪部分の異変であれば、ハブ周辺のガタつきの可能性がある。音の種類や音の出どころは多種多様なのでよく聞いてみることが大切。音だけでなく、ホイールから伝わる振動でもトラブルがわかることもあるので、手の感触にも注意を払うといい。

ホイールにガタがきているならば、ショップに持ち込むことをおすすめする。自分でも調整できなくはないが、ハブの型式によって工具も違い、締めすぎたり緩くても回転に影響を与えてしまうためだ。

違和感は感じるけど、微妙でわからないという時には、少しだけ走ってみると分かる場合も。この場合は全力で走るのではなくできるだけスピードを落とすことも忘れずに。

症状・異音 原因 対処法
カタカタ/キーキー/ひっかき音 ハブベアリングのグリス切れ
  • ハブのベアリング部のワンの状態を点検する。
  • グリスを入れて組立調整する。
  • 各部に虫食いなどの異常があれば交換する。
シャーシャー ホイールとブレーキ接地面のこすれ
金属片がブレーキシューに刺さっている
ブレーキシューの摩耗・交換
  • ブレーキの片効き、ホイールやブレーキキャリバーのセンターを調べて修正する。
  • ホイールの振れを修正する。
  • ブレーキシューの金属片を取り除く。
  • ブレーキシューの交換
ガクガク クイックレバーの緩みやガタつき
  • クイックレバーを調整して正常トルクで締め直す。

コントロールレバーから異音がする場合

コントロールレバーを操作しようとしても手応えがなくスカスカの感触の場合、どこかのパーツが壊れていないことや、調整がうまくできていないことがすぐわかる。圧倒的な違いなので、具体的なトラブルも発見しやすい。

一方でコントロールレバーの手ごたえはしっかりとあるのに変速はなぜかしないという場合は問題が大きい。この場合は、問題点がレバーユニットなのか、ケーブルなのか、もしくは変速機全体の問題なのかと様々な箇所の問題が考えられる。とはいえ、コントロールレバーのトラブルは、走行中に直感的にどの部分がおかしいのか特定しやすいため、早急な対応が可能。

症状・異音 原因 対処法
カクンカクン 取り付けボルトの緩みやガタつき
  • コントロールレバーのクランプボルトを締める。
握った際のスカスカ感 レバーの大きな遊び
  • ブレーキケーブルの緩み。
  • ブレーキキャリパーのワイヤークランプを調整。
グニャリ/スカスカ シフトケーブルの調整不足や伸び
  • シフトケーブルの調整。
  • シフトケーブルやインナーの交換。

タイヤから異音がする場合

タイヤのトラブルはパンクという非常にわかりやすい形で表に出てくる。特にクリンチャータイヤはパンクしやすく、特にリムを強く打ってこの部分から空気が抜けていく(いわゆるリム打ち)パンクは珍しいことではない。いくら注意をしてもパンクだけは避けようがないため、走行時には予備チューブとタイヤレバーを携帯しておくことのみが対処法だ。

他にもタイヤに異物が刺さっている場合もイオンがする。この状態が長く続くと異物がチューブに刺さってパンクの原因となるため、異物が刺さっている場合はすぐに抜くなどしたい。

症状・異音 原因 対処法
シューッ 通常のパンク
  • クリンチャー:タイヤに異物が刺さっていないか調べる。リムフラップの状態を調べる。
  • 新しいチューブに交換する(リムフラップを交換する)。
  • チューブラー:新しいタイヤに貼り直す(リムテープorリムセメント)。
グニャグニャ感 チューブ破損やバルブの劣化によるスローパンク
  • 新しいチューブに交換する(リムフラップを交換する)。
  • チューブレス:挟みこんでいるビードに異物が挟まっていないか、ビード自体を傷めていないかを調べる。

ブレーキから異音がする場合

ロードバイクで最も大切なパーツはブレーキ。ブレーキの不具合は大きな事故に即繋がるため、違和感があれば即時対応したい。ブレーキの違和感は走行中にブレーキをかけたときに音や感覚からわかるはずなので、特定はそう難しくない。とくにブレーキケーブルの調整不足やブレーキシューの交換時期などは見ただけで判別できるので対処しやすい。

ブレーキからの異音がする場合の一番の原因はブレーキパッドの角度がおかしくなってること。特に後輪のブレーキ部分に多く、地球ロックをした際、ブレーキ部分に力がかかり曲がってしまうことがある。こうなると、片側だけ常にブレーキがかかった状態になり、異音が発生するとともに前に進みづらくなる。ブレーキの角度は手で簡単に調節できるので不具合を感じたら調整するとよい。

他にもブレーキシューの角度がずれているということも考えられる。特にブレーキシューの交換を行った際にこの現象は起こりやすい。ブレーキシューは進行方向に向けて先端をわずかに狭くするのが基本。ハの字に設定すると、ブレーキ時の音鳴りが小さくなる。

しかしながら、ブレーキを掛けた際に「コンコンコン」という音がしたら、ひょっとするとブレーキのトラブルではないかもしれない。このコンコンという音はリムやホイール全体の歪みが原因で音が出ていることもあるので、ホイールやリムをよく観察することが大切。

症状・異音 原因 対処法
止まる時の空走感/制動距離の伸び ブレーキキャリパーの片効き
  • ブレーキケーブルのストローク調整。
  • ブレーキキャリパーのセンター調整をする。
キーキー/キーッ ブレーキシューの劣化や調整不備
グニャリ/スカスカ ブレーキケーブルの調整不足や伸び
  • ブレーキケーブルのストローク調整。
  • ブレーキケーブル、インナーの交換。

スプロケットから異音がする場合

うまく変速できないと感じる場合は、変速レバーを操作してシフトケーブルの動きを観察するといい。変速ができない場合はケーブル内のワイヤーの動きが悪いことが原因で変速できないことが多い。そのため、変速関係で気になる場合は最初にワイヤーを調べてみるといい。ほかにも、前後のギアそのものに問題がある場合は変速時に通常よりも大きな音がしたり、シフトアップやダウンが不調になったりする。

スプロケットが錆びている場合は変速がスムーズにいかなくなる、この場合は錆を取り除くだけでいいので対処は楽。一方でスプロケットの刃こぼれが見つかった場合は深刻。メンテナンスや修理でカバーできないため、スプロケットごと交換する他対処方法がない。

症状・異音 原因 対処法
ガシャンガシャン/ギコギコ ギア部分のサビや歪み
  • サビはブラシ等で落としてみる。歪みのある場合は交換する。
ガクガク ロックリングの緩みやガタつき
  • ロックリングのネジ部を点検する。異常がなければ専用工具で締め直す。

ペダルから異音がする場合

ペダルを踏むたびにパキンパキンという音がしたり、何となく力が逃げるような感覚がある場合、または、ペダルから砂を擦るようなジャリジャリ、ザラザラとした感覚がある場合は、ペダルまわりの点検が必要。

「ガタガタ」「カタカタ」「ガクガク」する場合は、ペダルが緩んでいたり軸にひびが入っていることがある。この状態で踏み続けるといずれは大きな事故に繋がるので、一度ペダルを外してからどのような状態になっているかをしっかりと確認したい。

一方で「ジャリジャリ」「ザリサリ」する感じの場合はシャフトやベアリングのグリス切れが考えられる、クリーニングするのはもちろんのこと、グリスアップも忘れないように。

症状・異音 原因 対処法
ギシギシ/ペダルの脱落 シャフトの緩みや締め忘れ
  • ペダル、クランクのネジ部分の点検。
  • 適正トルクでない可能性。
  • ペダルが適正方向(右側:正ネジ 左側:逆ネジ)になっていないか確認。
ペダルの固着/ガリガリ/ゴリゴリ シャフトやベアリングのグリス切れ
  • シャフトのベアリング部を分解して玉押し、ベアリング、ワンの状態を点検する。
  • グリスを入れて組立調整する。
  • 各部に虫食いなどの異常があれば交換する。

クランク周辺から異音がする場合

クランクに異変を感じた場合は、シートを持ってロードバイクを持ち上げ、前後左右に障害物がないかどうかを確認してからバイクを左右に振ってみる。クランクの辺りでカタカタ、ガタガタなんて音がした場合、クランク周辺に何か異変が起きているかもしれない。

クランク箇所の緩みであれば調整も簡単。一方でボトムブラケットの破損のようなトラブルの場合は、自転車屋のお世話になるぐらいの大がかりな故障が考えられる。

症状・異音 原因 対処法
踏み込んだ時のガタつき感 ボトムブラケットのカップ部分に緩みや破損
  • シャフトのベアリング部を分解して玉押し、ベアリング、ワンの状態を点検する。
  • ワンの緩みを締め直す。
  • 各部に虫食いなどの異常があれば交換する、本体交換する。
カクンカクン チェーンリングのフィキシングボルトの緩みやガタつき
  • フィキシングボルトのネジ部を点検、異常がなければ締め直す。
コクッコクッ/踏み込んだ時のガクカク感 クランクボルトの緩みやガタつき
  • クランクとシャフトの接合部分を点検する。
  • 変形、破損の場合は全て交換する。クランクボルトで適正に締める。
コクッコクッ/踏み込んだ時のガクカク感 クランクの外れ止めプレート破損
  • クランクアームの付属パーツである外れ止めプレートの破損や脱落を正常に戻す。
ガシャンガシャン/ギコギコ チェーンリングの錆びや歪み
  • チェーンリングを交換する。

サドルから異音がする場合

サドルに座ったとき「キシキシ」という音がしたり、軋み感が出ている場合は、サドルやその周辺になにかがある。サドルにいろんな角度から力を加え、異音がしないか確認する。音がする場合は、シートピラーを固定しているクランプやサドルのやぐら部に緩みがないかチェックする。やぐらから音がするならば、ボルトを抜いてグリスを付けて増し締めする。

他にも乗っていてドンドンと突き上げられるような感じがする場合は。フレームを持って左右に振ったときのカタカタという音も「要点検」のサイン。

症状・異音 原因 対処法
取り付け位置からの異音 シートポストの緩み
  • シートポストの増し締め。
  • シートポストにグリスを塗る。
シートが前後に動く クランプボルトの緩みやガタつき
  • クランプボルトの状態(変形・亀裂等)を点検して締め直す。
シートピラーの沈み込み シートピンの緩みやガタつき、破損
  • シートピンを締め直す。
  • フレームのクランプ部分を点検する(変形・亀裂等)。
  • シートピン、シートピラーを交換する。

チェーンから異音がする場合

常にパワーを後輪に伝え続けているチェーンは、サドルやハンドルと異なり交換頻度の高い消耗品。おおよそ5,000kmの走行で交換することが好ましいとされる。走っていて「ガチャガチャ」という音が続く場合は、チェーンが伸びてしまっている場合や、適切な長さになっていないかということが考えられる。

特にチェーンが伸びてしまっている状態で走りづつけると、ギアが削れて徐々に消耗してしまうので、ギアの交換が必要になってくるので注意したい。他にもチェーンの汚れが激しかったり油分不足を起こしたりしていると、金属が擦れるような「嫌な音」がする。トラブルを避けるためにもチェーンは常にきれいな状態にしておき、注油もしっかりしておく状態を保っておくこと。

症状・異音 原因 対処法
ガシャガシャ チェーンの伸びや長さの不具合
チェーンのねじれ
  • チェーンを交換する
  • チェーンを適正な長さに直す。
  • スプロケット、チェーンリングとの摩耗状況を調べて歯跳びするようならそれらも交換する。
ギコギコ キーキー チェーンの汚れ、油切れや鯖び

フロントディレイラー周辺から異音がする場合

チェーンに問題がないのに走行中にガリガリと音が聞こえたり、チェーンが頻繁に外れたりする場合は、フロントディレイラー付近の調整不足を疑おう。特に結束金具でフレームに固定するタイプは前後方向か上下方向にズレが生じているかもしれない。

他にも「カリカリ」「シャーシャー」という音がする場合はフロントディレイラーがチェーンに接触している可能性がある。そのままにしておくとトラブルのもとなので、足元の音をよく聞くこと。

あと、フロントディレイラーに砂とオイルが混じったものが付着している場合はそれが原因で「シャリシャリ」「ジャリジャリ」と音がすることもある。破損等のトラブルではないが、走行性能を落とす原因ともなるので、メンテナンスの際にはしっかりと清掃しておきたい。

症状・異音 原因 対処法
シャカシャカ/チェーンの擦る音/チェーンの脱落 フロントディレイラーの調整不良
  • フロントデイレイラーのストローク(トップ・インナー側)を調整する。
  • チェーンリングの歪みの場合は交換する。
シャカジャカ/取り付け部付近のガタガタ感 取り付けバンドの不良(直付けボルトの不良)
  • 直付けボルトの交換。直付けボルトの締め付け。
  • フロントデイレイラーの向きも点検する。

リアディレイラー周辺から異音がする場合

変速は問題なく行えるが、変速に時間がかかったり、変速がスムーズにできない場合スプロケットを確認するが、スプロケットに問題がなければ、リアディレイラー周辺の問題かもしれない。

他にもチェーンが外側に外れるような場合も同様で、リアディレイラーとシフトワイヤーも合わせた調整が必要かもしれないのでよく観察すること。

症状・異音 原因 対処法
シャカシャカ/チェーンの擦る音/チェーンの脱落 ディレイラーハンガーの曲がりや歪み
  • ディレイラーハンガーの曲りの点検修正する。
  • 曲りの変形が著しい場合は交換する。
シャカシャカ/チェーンの擦る音/チェーンの脱落 リアエンドの曲がりや歪み
  • リアエンドの曲り、平行度の点検修正する。
  • 曲りの変形が著しい場合はハンガー部やフレームの交換をする。
シャカシャカ/チェーンの擦る音/チェーンの脱落 リアデイレイラーの調整不備
  • リアデイレイラーのストローク(トップ・インナー側)を調整する。

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