How to choose eyewear
アイウェアの役割といえば、まぶしい光を抑えて視界を確保し、紫外線から網膜を守り、風、空中の異物、虫などから目を守るなど、「ライダーの視界をクリアに保つ」という大切な意味がある。しかし、もうひとつ「プロテクター」という大きな役割がある。
昔はアイウェアをかけていると危ないと思われていた。しかし、スポーツ用アイウェアは耐衝撃レンズやナイロン樹脂のフレームでできており、様々な場面で目を守ってくれるため、プロテクターとしての役割も踏まえて利用する人が増えてきている。
落車したときでも、顔を地面に擦るようなときもレンズが割れたり、外れたりして顔を傷つけることはなく、逆に守ってくれる。落車時にドロップハンドルが目に当たる危険性もあるので、自転車に乗るときはぜひ装着したい。
スポーツ用サングラスと普通のサングラスではプロテクターとしての機能が大きく違う。普通のサングラスは平面的に視野を確保するだけのもので、頭を守るようにできていない。一方でスポーツ用サングラスは頭の周りに沿ってフレームが形作られているため、
では量販店やアマゾンなどで売っている安価なスポーツ用サングラスはどうかといえば、不十分。というのも、廉価モデルはまぶしさを抑えたり、風を防いだりすることはできるが、プロテクターとしてスポーツやフレームの強度が十分でない場合があるためだ。
アイウェアもヘルメットと同じように耐用年数があるので、定期的な交換が必要。というのも、ヘルメットと同じようにパーツなどが樹脂でできているので紫外線劣化は避けられないため。
プロテクターとしての性能を維持するためには、2-3年で買い替えることをおすすめする。
さまざまなデザィンがあるアイウェアだが、どのような違い、特徴に分けられるか。
わかりやすいのがレンズの枚数。一眼モデルと二眼モデルの2つのタイプがある。
一眼モデル | 二眼モデル |
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自転車は周囲の確認を頻繁に行なうため、レンズが大きく視界が広いものが適している。
普段、裸眼の人にとって二眼モデルは、真ん中の鼻の部分の視野が少し欠けて見えて違和感を覚えるかもしれないが、普段からメガネをかけている人は気にならないレベル。一方で、一眼タイプのほうが視野が広そうだが、実際の視野については一眼、二眼ともほぼ差がない。
ただ、交換用レンズを携帯するとき、二眼モデルであれば重ねてコンパクトに収納できるが、一眼モデルはかさばってしまう点がデメリットといえる。
フレーム形状にも2つのタイプがあり、レンズの上のみにフレームがある「ハーフリムタイプ」と、レンズを完全に囲っている「フルリムタイプ」の2タイプ。
フルリムタイプ | ハーフリムタイプ |
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フルリムタイプはフレームが視野を狭めてしまうと思ってしまうが、実際はフレーム自体が顔に沿っている形状なので、フレームが視界の邪魔になることはない。また、レンズ自体の耐衝撃性が高いので、フルリムタイプでもハーフリムタイプでもプロテクターとしての性能に大きな違いはない。
機能的にはほとんど差はないので、使い勝手やデザインが選ぶ決め手になるが、一般的には、ハーフリムタイプのほうがレンズ交換しやすいことと、フルリムタイプは存在感が強くて、目立ちすぎるという理由で、ハーフリムタイプを選ぶ人が多い。
ただ、そこまでの差はないので、実際に店頭で試着してみて、自分が気に入ったタイプを選んだほうがいい。
フレームデザインや機能とあわせて、アイウェア選びの重要なポイントとなるのがレンズ。レースをするならコントラストを強めるカラーを。夜も走る人はクリアレンズもしくは調光レンズ搭載モデルを、というように好みと使用目的に合わせて選ぶこと。
アイウェアのレンズにはさまざまな色があるが、自転車に向いているおもなカラーを紹介する。ひとつの指針としては、「グレー」「レッド」「ブラウン」「クリア」「イエロー」とおおまかに分けて特徴づけられる。
「アイウェアはグレーレンズ」というイメージがあるかもしれないが、違う色のレンズが自分の走り方にメリットがあることもあるので、走行する場面と好みによって自分に合ったレンズを選ぼう。
最も使いやすいのが「グレー」のレンズ。まぶしさに弱く、視界の色が変わるのがいやという人はすべての光を均等に下げる効果のあるグレーやブラウン系がお勧めだ。
全体的に明るさのトーンを落とし、色調変化がほとんどないので、肉眼とほぼ同じ色合いに見え、安心感がある。景色を楽しみたいサイクリストにも向いている。夜間走行時以外のシーンで使える。
どんな天候にもオールラウンドに使えるのがレッド。パソコン用メガネと同じく、「にじみ」や「まぶしさ」の原因となるブルーライト=短波長をカットする機能がある。この短波長をカットすることで、景色がシャープに見えて、遠近感、立体感が際立ち、レース中の瞬間的な判断を助けてくれるなど、サイクリストにメリットが多い。
さらに、天候が曇りでもコントラストがはっきりし、明るく見えるのでモチベーションを上げる効果もある。景色が赤く見えるのも、数分かけていれば、慣れてくるので問題ない。
なお、グレーとレッドの中間的役割を果たしてくれるのがブラウン系のレンズ。
クリアのレンズは木陰を走ることが多いマウンテンバイクのライダーなどに愛用されている。また、通勤などで夜間に走る必要がある人にもクリアの明るいレンズが適している。
早朝や夕刻、雨天時、曇天時に適する。コントラストを強調する効果があるため、クリアやグレーと比べると目標物をはっきりと認識できる。目が疲れやすくなると感じる人も。
「透過率」とはレンズが外からの光をどれだけ通すかを表す数値のこと。たとえば透過率10%と数値が小さいとレンズの色が濃くなる。これは90%の光がカットされるということ。逆に透過率90%と大きければレンズの色は薄くなる。
走行中はレンズをつけ外しできないため、急に日陰に入ったり、走っている間に曇ったりすることもある。これらを考慮すると、晴れでも曇りでもストレスなく使える30%ぐらいの透過率のレンズを最初は選ぶようにしたい。
最近では、外の環境によってレンズの濃さが変わる調光レンズもある。これは晴れ、曇り、夜間など幅広い場面に対応できるのがメリット。場面によって都度レンズを交換しなくていいため、夜間も走るロングライドでその効果を発揮する。デメリッ卜は自分で色の濃さを調整できない点にある。
この調光レンズは紫外線に反応するものと可視光線に反応するものの2種類がある。どちらにしても調光レンズには寿命があり、2-3年経つと色が変化しにくくなることも留意しておきたい。
紫外線調光は、ヒルクライムなど標高が高いところでは、たとえ曇りでも紫外線が強いので、レンズが濃くなることがある。気温の影響も受けやすく、夏は色が濃くなりにくい性質がある。また、紫外線カットガラスを装備した車の中だと色は変化しない。
可視光線調光は近年の技術の高まりによってできた方式。周辺の明るさによって色調が変化する。気温の影響は受けにくいが、レンズの色が変化するスピードが紫外線調光と比べると少し遅い傾向にある。
ミラーコーティングされたレンズもある。光を反射し透過率を下げる効果がある。例えば、透過率30%のレンズ単体だと目が透けて見えてしまうが、相手に目が見えないほうがいいという人や、競技などで表情を見られたくない人などにはミラーレンズという選択肢が生まれる。
このミラーレンズは、外から見て反射している色とは反対の色調で見えるのが特徴といえる。たとえばブルーミラーは視野が黄色く、ゴールドミラーは視野が青く見える。シルバーミラーはすべての色を反射するので、色調変化が少なく肉眼に近い見え方になる。
なお、アイウェアのメーカーによってはベースのレンズとミラーの色を組み合わせて、見え方を工夫することも可能。
アイウェアをプロテクターとして使用する場合、夜間でもアイウェアを装着することになる。夜間も走る場合はレンズ交換が簡単なものを選ぶとストレスが少ない。オークリーやルディプロジェクトはフレームにヒンジを設けて容易な交換を可能としている。
夜間は、クリアやイエローのレンズが向いている。なお、調光レンズは紫外線量によって濃度が変化するため、レンズ交換が必要ない。
走行中は風が当たるのでレンズが曇ることは少ないが、速度域が低いヒルクライム中や
停止時のレンズの曇りが気になる人は、レンズに曇り止め加工が施されたものや、ベンチホールが開いたモデルを選んでおくと安心。普段メガネを着用している人は、度付きのレンズ付きアイウェアという選択肢がある。度付きにする場合、アイウェアのレンズを直接度付きにしたタイプのものや、スモークレンズが跳ね上げ式のフリップアップタイプ、レンズの内側に度付きレンズを装着したクリップオンタイプなどの種類がある。
このタイプはメーカー純正の加工だと矯正範囲が限られるが、眼鏡専門店であれば一眼レンズをふたつに分割したり、レンズの真ん中をくりぬいて度付きレンズをはめこんだりといったことが可能。どこまでできるかは店舗で聞いてみること。この場合はハーフリムフレームタイプよりも、レンズの厚みを隠せるフルリムフレームのほうが向いている。
眼鏡の度数の強い人は、サングラスを外せばメガネの代用にもなるフリップアップタイプが違和感も少ない。
レンズの内側に度付きレンズを装着するクリップオンタイプは、普段はコンタクトをしているけど、花粉症の時期はメガネを使うという人にも低コストで視力を矯正できるので便利。
せっかく高機能なアイウェアを使用していても、正しくフィットしていなければ十分なメリットを得られないこともある。アイウェアの自転車用モデルの性能を引き出すためにも、フィッティングには細心の注意を払いたい。
特に注意したい点として、洋服を選ぶときと同じでサイズ感とフィット感が重要。これらは実際にかけてみないとわからないし、大抵の店舗では試着が可能となっているので、各種ポイントに注意して試着する。
フレームにフィットしているかはもちろん、走行時の振動でズレないかを実際に頭を振ってチェックする。また、実際に前傾姿勢をとって前を見て視界が確保されていることを確認することも大切。
歯を食いしばったときにレンズの下端がほおに当たらないか圧迫感を感じないか、などを最初にチェックする。ハーフリムフレームモデルの場合、レンズの下側と顔が当たらないかも確認しておこう。
試着の際、自分が実際に愛用するヘルメットを着用して、フィッティングする。ヘルメットを被ったときのバランスやサイズ感。ヘルメットとアイウェアが当たらないかもチェックする。
アイウェアとヘルメットの相性によっては、装着時にテンプルの後端とヘルメッ卜下端が当たってしまうこともある。
ロードバイクで使用するうえでは前傾姿勢時のフィッティングも大切。自転車走行時は前傾姿勢が多いので、その状態できちんと固定されるものを選びたい。
普通のメガネだとツルを耳にかけて固定するが、スポーツ用のアイウェアはテンプルエンドで側頭部を囲んで固定し、ずり落ちないようになっている。前面はノーズパッドで支えるだけなので、そのときの掛け心地を重視するといい。
そして、前傾姿勢時にしっかり視界が確保できているかも必ず確認する。フレーム上部が視界を遮ったり、前傾でのレンズ位置が気になったりするものは不適切。ほかのモデルを探すか、専門店でフィッティング調整してもらうこと。
アイウェアによっては、フィッティングを調整できるモデルもあり、調整できない固定式のモデルと二分することができる。海外モデルは海外の人に合わせてデザインされていることが多く、日本人に合わないこともある。そんな人はノーズパッドを用いたり、テンプルを可変させることができるモデルを選んだりして調整する。
調整可能モデルは、ノーズパッドやテンプルエンドにワイヤーが入っていて自由に動かせる。ノーズパッドをオプションに交換するものなどがある。
一般的には調整可能なモデルが便利そうだが、固定式モデルが好まれる場合もある。というのも、プロの選手などは、アイウェアの着脱が多く、レース中にアイウェアを手で押したときに、ワイヤーが動いてかけ心地が変わることを嫌い、固定式にこだわる人もいる。
固定式のモデル、または調整範囲が狭いモデルでも、専門店であればより細かいフィッティングを極めることが可能だ。
また、専門店ではメーカー社外品のパーツを使って、ノーズパッドに厚めのラバーを貼ったり、ワイヤー入りのノーズパッドに交換したりすることもできる。フレームに熱を加えて、形状を加工することもある。
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