サドルバッグの選び方と、サドルバッグに最低限入れておくもの

Saddle bags

ロードバイクはできる限りの軽量化を追求した乗り物だ。本当なら何も持たずに走るのがロードバイクといえるだろう。しかし突然のパンクをはじめ、乗っている最中に何かしらのトラブルが生じることは多分にある。そのためトラブルに対応するための最小限の道具は持っておきたい。

とはいえ、ロードバイクにはカゴもついていないため持ち運ぶ手段がない。そこで登場するのがサドルバッグ。中に入れるものは人それぞれ多少の違いがあるが、携帯工具やタイヤレバー、交換用チューブなどパンクに対応できるグッズは入れておきたい。そのほかにも小銭やスマートフォンなども持ち運ぶといい。このページではサドルバッグの選び方と、サドルバッグに最低限入れておくものを紹介する。

サドルバッグの選び方と、サドルバッグに最低限入れておくもの

サドルバッグとは

サドル下に取り付ける専用バッグのこと

ロードバイクを買ってから、スマートフォンやサイフなどの携行品をどこに入れるか迷うだろう。リュックやショルダーバッグならその中に入れて運ぶが、手提げかばんやブリーフケースはロードバイクでは持てない。また、ちょっとした練習の時であればリュックやショルダーバッグを持ち運ぶのは現実的とはいえない。

慣れた人はウェアの背中についたポケットなどを使って必要なものを持ち運ぶが、サドルの下に付ける小ぶりなバッグがひとつあると何かと便利。それがサドルバッグというもの。

このバッグは工具やタイヤレバー、交換用のチューブなど、少し遠出をする時には持っておきたい小物をコンパクトに収納できるロードバイク向けのアイテムであり、多くのロードバイク乗りが所有しているバックでもある。

サドルバッグにはさまざまなタイプの商品があるので、使い方と大きさ、デザインで選ぶといい。

サドルバッグと他のバッグなどとの比較

サドルバッグ以外にもフレームバッグやツールケースなど、ロードバイクにくっつけて持ち運ぶ手段はある。その幾つかを紹介する。ただ、走りやすさや入れることのできる容量、使い勝手などから考えても、初めてロードバイクのバッグを検討するならサドルバッグがおすすめだ。

フレームバッグとどっちがいいか

フレームバッグ 参考価格:2,573円

フレームバッグはフレームの上に固定するタイプのバッグで、ハンドルの手前部分につけるものが一般的だ。スマートフォンをナビゲーション代わりに使うことができるのだが、モデルによってはダンシング時などたまに足がフレームにバッグに当たる。

両方を使用した感想としては、足の動きを妨げないサドルバッグのほうが使い勝手がいい。

ツールケースとどっちがいいか

ロードバイクに載っていない時にはサドルバッグは盗難防止のために外しておくことになるが、これがどうも面倒くさいという人はツールケースを使用している。

ツールケースの中に必要なアイテムを入れておき、ロードバイクから離れる時にはすぐに外すことができるというメリットがある。ただ、入れられる量が少ないのと、ボトルケージを使用してしまうので、ロングライドには使いづらい

おすすめは両方持っておき、使用する場面に応じて使い分けること。普段はツールケースに工具やチューブなどを入れておいてそれごと持ち運ぶ。

ここにサドルバッグを導入すれば、雨合羽やタオル、携行食や輪行アイテムなど多くのものを持ち運びできる

サイクルウェアのポケット

サイクルウェアのポケット

サイクルウェアのポケットは思った以上に多くのものを入れることができる。チューブからタイヤレバー、CO2ボンベキットなどパンク修理キットレベルだと全部入れることができるだろう。ただ、ロードバイクに乗る時に必ずポケットのあるサイクルウェアを着るかどうかは人によって異なる。

リュックやメッセンジャーバッグを持たなくても

サドルバッグに加え、フレームバッグ、ツールケース、サイクルウェアと全てを動員すれば、リュックやメッセンジャーバッグを持たなくても、かなりの量のものを携行できる。

もちろん、リュックを使えば一泊旅行も可能。リュックについてはロードバイクで使うリュックはドイターのレースXがおすすめで紹介しているので参考に。

参考リンク ロードバイクで使うリュックはドイターのレースXがおすすめ

サドルバッグ選びのポイント

1.バッグのサイズ

ロードレースの練習やロングライド、ポタリングなど、用途や目的に合わせてサイズを選ぶのがいい。予備チューブ、携帯工具、タイヤレバー、CO2ボンベといったパンク修理キットが最低限入るものがおすすめだ。

サイズは大きいほうがたくさん入っていいように思えるが、見た目がスマートではなくなってしまう。また、重心位置の高いサドル下が重くなるとダンシング時などに動かしにくく、ロードバイクの挙動が重く感じてしまう。さらに、バッグ容量が大きいのに入れたものが少ないと、バッグのなかで入れたものが跳ね回ってしまうので走りに集中できない。

大きければいいというものではないので、自分の用途にあったなるべく最低限のサイズのものを選ぼう

なお、ロードバイクを使った一泊旅行の場合はサドルバッグでは容量が不足しがち。この場合はサドルバッグではなくシートバッグという大容量のアイテムを使うといい。

参考リンク 多くの荷物を運ぶことができるシートバッグは旅行やロングライドに便利

2.固定方法

サドルへの固定方法は、ベルクロベルト(いわゆるマジックテープ)でサドルに固定するタイプと、樹脂製のアタッチメントで固定するものがある。いずれもメリットとデメリットがあるので知っておこう。

タイプ メリット デメリット
ベルクロベルト式 微調整が簡単でしっかりと固定できる ベルクロの余剰部分が多いとレーパンがベルクロと擦れたり、使い込んだりするとベルトが傷んでくる
アタッチメント式 着脱がスマート 微調整が面倒だったり、振動による音鳴が気になったりする

3.走りの邪魔にならないか

バッグの幅があまりにも広いと深めのポジションを取った時に太ももに当たる。内腿にサドルバッグがこすれるのが気になる場合は、横幅が狭い形状のものがいい。人によってお尻の形や太股の形が異なるため、この辺りはたとえお店でサイズを確認したとしても実際にある程度の距離を走らないとわからない。

サイズの話と重複するが、自分の入れたいものが最低限入るものにしておけば後々後悔することは少ないだろう。

サイズによって入れられるものが異なる

さまざまなサイズのサドルバッグが売られているが、Lサイズとか書かれてもサイズ感がつかめないのは事実。

サドルバッグの定番モデルである、トピーク エアロウェッジパッグ(バッグではなくパック)を例にとって、それぞれの大きさのバッグに、どの程度の荷物が入るのか示してみた。

それぞれ無理やり詰めればもっと入るが、取り出しやすい範囲で入れた量だ。自分の入れたいものの目安にするといい。

マイクロサイズ

参考価格:1,700円+税

エアロウェッジパッグ中もっとも小さいサイズ。パンクしたときの予備チューブや携帯工具などが入る。

Sサイズ

参考価格:1,900円+税

マイクロサイズに加え、お金やカードを入れたジップロック、ハンドタオルが入る。

Mサイズ

参考価格:2,300円+税

Sサイズに加え、スマートフォンと携帯用の空気入れがなんとか入る。最も使われているサイズ。ちなみに、自転車通勤通学に適したU字ロックの紹介と持ち運ぶ方法で紹介しているが、このサイズから小さめのU字ロックを入れることができるので、何かと便利。

参考リンク 自転車通勤通学に適したU字ロックの紹介と持ち運ぶ方法

Lサイズ

参考価格:2,700円+税

Mサイズに加え、コンパクトカメラ、ワイヤーロック、薄手のウインドブレーカーなどが入る大容量。この辺りになると太股にあたってくる可能性が出てくる。

サドルバッグに最低限入れておくもの

ロードバイクの使用用途によってサドルバッグに入れるものが変わってくるが、練習時などの最低限の場合でも、工具とパンク修理キット、チューブやCO2ボンベセット、タイヤレバーといったパンク修理キットに携帯工具は必ず持っておきたい。

補給食を収納する人もいるが、食べ物なので工具やチューブなどとは分けたほうがいい。ジャージのバッグポケットやトップチューブバッグへの保管がおすすめだ。

1.携帯工具

トピーク Mini 9 参考価格:1,905 円

トラブルを応急で処置するために持ち歩く携帯ツール。携帯工具はその名のとおり携帯用にコンパクト設計になっている。そのため持ち運びやすくて軽い。恐ろしく安い携帯工具もあるが、いざ使ってみると壊れてしまうなど信頼感が若干低いのでよく考えて選ぶこと。

種類が豊富で、多いモノだと20種類以上の工具が組み合わされている。しかし機能が増えれば重量も増してしまう。よく使う4,5,6mmのアーレンキー(六角レンチ)とプラスドライバーがあれはほとんどの場合解決する。工具なので油が付いていることもあるので、他の荷物が油で汚れないようジッパー付きのビニール袋に入れるのがいい。

2.CO2ボンベセット

チューブに瞬時にガスを充填することができるパンク修理の強い味方。これを持って行けば、よほどの不幸がない限り携帯用空気入れは不要

近ごろ携帯用の空気入れではこちらのほうが主流になっている。使い方は難しくないので、焦らずに作業すれば初心者でも使いこなせるだろう。

夏ならまだいいが、冬の寒い中で何回もポンピングするのは非常にツライ。このCO2ボンベセットがあればそんな苦労もしなくていいのでそれだけでも大きなメリット。他にもパンク修理やチューブ交換の労力と時間を大幅に低減してくれ、仲間とのライディング時だったら、相手を待たせる時間を短縮できるメリットも。

基本的に1回使い捨てで、1セットあたり2,000円ぐらいなので、コストがかさむことが問題だが、通勤通学にロードバイクを使うならこれをもっておいたほうがいい。

3.携帯用空気入れ(CO2ボンベセットがあれば不要)

CO2ノズルとカードリッジの登場以前から使われてきた携帯用空気入れ。何度でも使えるのは経済的だが、サイズが大きくかさばるのと、1回のポンピングの空気の充填量が少なくロードバイクのタイヤに空気を入れるにはかなり体力を消耗してしまう。

また、空気圧を測るゲージがないのでどれだけ空気を入れているか全くわからないのもツライ。とはいえ、応急処置としては十分だろう。

購入時には、形状や重量だけでなく、グリップの握りやすさやバルブの取り付け方法をチェックしよう。あくまで緊急用なので、自宅にはちゃんとした空気入れが必須。

4.タイヤレバー

ホイールからタイヤを外したりはめたりするときに使用する。タイヤを外す作業は素手で不可能な作業ではないが、寒い場合は非常に辛いし、硬いタイヤだと不可能な場合も。

携帯用には2本でいいが、チューブ交換に自信がない場合は3本もっていくと安心だ。各メーカーからさまざまな形状や素材のものが出ているが、基本的にどれを買っても問題ない。

5.チューブ

パンク時にはまずフレームからホイールを外し、穴の空いたチューブを取り出して新品に交換する。穴の空いたチューブは家に帰ってからパンク修理キットで穴を塞いで修理する。ロードバイクのホイールは簡単に外すことができるので、この作業はそれほど難しくない。慣れれば15分程度で行えるだろう。

チューブにはタイヤに適合するサイズがあるので、自分のロードバイクのタイヤに合ったものを携行するようにしよう。ロードバイクで使われているタイヤは23Cや25Cが多いので、基本的には上記で紹介しているチューブで間に合うだろう。リムの長さが高いディープリムを使っている場合は40mmではなくもっと長いバルブの長さのものを選ぶといい。

なお、ここでは普通のチューブを紹介しているが、走りを向上させたいのであれば更に上のランクのチューブも存在する。くわしくは「たった1500円で乗り心地が向上するチューブの紹介」を参考に。

参考リンク たった1500円で乗り心地が向上するチューブの紹介

また、自分でパンク修理ができなくても、予備のチューブは持っておこう。お店でやってもらう時や同じようにロードバイクで走っている人に助けてもらうときなど、チューブがなければやってもらうこともできない。特にママチャリ専門店の場合はロードバイク用のチューブを備えていない場合もあるからだ。

チューブを購入したら箱から出してサランラップで巻いたりやジップロックに入れておく。こうすることで外気に当たることによる劣化を防ぐだけでなく、サドルバッグ内で他のものと擦れて穴を開けたりすることを防ぐためだ。

6.パンク修理キット

パンクには基本的にチューブ交換で対応して、家に帰ってからパンク修理をするが、何度もパンクしたり、交換に失敗して自分でチューブに穴を空けてしまったりする場合も想定される。そんな不運に見舞われたときも、パンク修理キットを携行していれば最低どうにかなる。大きさもそこまで大きくないのでこれもサドルバッグに入れておく。

ゴム糊とパッチで補修するタイプの他に、あらかじめ糊が付いた薄いシートを貼るタイプがある。後者のほうが作業は容易だ。

7.現金

万が一何かあった場合に頼れるのはやっぱり現金。お腹が空けば外出先で何か買ってでエネルギーを補給できるし、いざとなったらタクシーで家まで帰ることもできる。とはいえ、財布を持っていく必要はなく、ジップロックに現金のみを入れておくやり方がよい。

8.ワイヤーロック

クロップス Q3 SPD08/Φ3×1800mm 参考価格:1,944円

家の周りを軽く走るだけなど、絶対にロードバイクから離れることはない場合はともかく、突然トイレに行きたくなったりコンビニで超短時間駐輪したりする場合もある。このような場合はワイヤーロックがベスト。人によってはハンドルに引っ掛けて運ぶ人もいるが、サドルバッグの中に入れておいたほうがスッキリ見えてかっこいい。

9.スマートフォン

スマートフォン

スマートフォンがあれば万が一何かあった場合に助けを呼ぶこともできるし、地図を調べることもできる。設定さえしておけば、コンビニなどでも決済ができるので、現金を持ち運ぶ必要もない。絶景ポイントではカメラにもなる。ある意味これ一つで多くの役目を果たしてくれる必須グッズ。難点は機械なので強い衝撃に弱いこと。携帯工具のような固いものの近くに入れないようにしよう。

サドルバッグに物を入れる順番は、容量をたくさん食うものから入れていくのがコツ

サドルバッグに物を入れる順番は、容量をたくさん食うものから入れていくのがコツ

サドルバッグが小さくてもうまく順番を踏んで入れれば意外とたくさん入る。容量をたくさん食う大きなものから収めていこう。チューブは周辺のアイテムと干渉して傷が付かないようにサランラップで巻くか、ジップロックに入れておくのがポイント。

入れる順序

  1. チューブ
  2. 工具
  3. CO2ボンベ

隙間に入れるもの

  1. タイヤレバー
  2. パンク修理キット
  3. ボンベのインフレーター

おすすめのサドルバッグ

おすすめ理由1.適度なサイズ

サイズは最低限入れるもの+ウエス+軍手とかなり入る割に、太股に当たるレベルではないサイズ感がいい。

おすすめ理由2.固定力が高い

固定タイプはベルクロベルト式で、3本のストラップで固定するので荷物がずれにくいし、サドル下への収まりもいい。

おすすめ理由3.安全性も考えられている

蓋の部分にテールライトを取り付けることができるようになっている

サドルバッグは安全性も考えられており、反射テープがついていて自動車のライトの光を反射する。さらに蓋の部分にテールライトを取り付けることができるようになっているので、夜間走行の安全性を高めることができる。

おすすめ理由4.雨天時も対応

トピークのエアロウェッジパックは突然の雨でも対応できるように、表地はデュポン社テフロンコーティング済み。完全防水ではないが、多少の雨なら中身は濡れないのがいい。また、路面の水を跳ね上げてしまうと、サドル付近にあるため汚れることもあるが、走り終わったら拭いてあげれば汚れが残りにくいのもポイント。

取り付け取り外しは多少面倒

デメリットは、盗難防止のために駐輪のたびに取り外す必要があるのが多少面倒。

まとめ

サドルバッグ選びで迷ったら、エアロウェッジパックのMを選んでおけば間違いない。Mまでなら太股に当たるレベルではないし、U字ロックも入る(他のものは入らなくなるが)ぐらい収納力も高い。表地も汚れにくく様々な場面で活用できておすすめだ。

トピーク エアロウェッジ パック M

  • 定価:2,300円+税
  • ストラップマウント着脱システム
  • 容量:0.98~1.31L
  • 重量:130g
  • 表地は汚れにくい素材

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