How to set the binding
ビンディングシューズとビンディングペダルを用いることによって、シューズとペダルが固定され、全ての脚の力をクランクに伝えることができるようになる。ただし、クリートが正しい位置に固定されないとかえってペダリングしにくくなる。ここではクリートの取り付け方と正しい調整方法を紹介する。
ビンディングペダルは、ペダルのキャッチする部分がビンディング対応シューズのソールに固定されたクリートと合体する仕組み。これにより脚の回転する力を失うことなくクランクに伝えられるようになる。また、ロードバイクとライダーの一体感が増すため、ロードバイクのコントロール性能も高まる。
走りの向上には欠かせないビンディングペダルだが、非常に重要なのはクリートの取り付け位置。快適に効率よくペダリングするにはクリートの位置を適切な場所に取り付ける必要がある。
前述したとおり、ビンディングペダルで快適で効率のいいペダリングを実現するために重要な要素は、クリートの前後位置と角度を適切にセッティングするということ。
ただし、適正な位置にクリートをセットしないとペダリング効率が悪くなるばかりか、股関節、ヒザ関節、足首、足の裏、筋肉が痛くなったり、故障の原因にもなったりすることがある。
ビンディングペダルやビンディンシューズには説明書がついているが、取り付け位置の細かい説明は詳しく記載されていないので適当にセッティングしがちなのだが、本来ならば初めての人でもできるだけ適切な位置に取り付けたいところ。
クリートの位置決めにはある程度のコツがいるが、以下にて初めての人でも適切な位置にクリートを設定できる基本的なセッティング方法を紹介する。もちろん初期セッティング後にある程度の微調整が必要だが、まずは基本的なセッティングを行おう。
初めてビンディングペダルにチャレンジする人は、ビンディングペダルとビンディングシューズを同時に購入するであろうが、ペダルをロードバイクに装着する作業と、クリートをシューズに取り付ける作業であれば、クリートの取り付けを先に行うことをお勧めする。
クリートを正しい場所に設定するにはペダルと実際に合わせてみる必要があるが、ロードバイクに先に取り付けてしまうと設定が面倒。可能であれば、ペダル装着作業よりも先にクリートの装着作業を先に行おう。
ソールへのクリートの固定にはボルトを使って固定する。クリートの着脱や固定に必要な工具はモデルによって異なるが、シマノ製のクリートにはアーレンキーを用いることが多い。
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クリートの調整であれば、持ち運び用の工具セットについているアーレンキーでも十分対応できるので、外出先でも調整が可能。
ここではSPDペダルのシマノPD-T8000の設定方法を紹介する。シューズはSHIMANO RT400MG SPDビンディングシューズを用いている。他のペダルも基本的なやり方は同様。
ビンディングペダルのクリートに合わせたビンディングシューズを準備する。例えばシマノのビンディングペダルにはシマノのクリートのみ装着できるし、カンパニョーロのビンディングペダルはカンパニョーロのクリートが必要。よく使われているシマノ製のものでも大きく分けて2タイプのペダルの種類があり、それぞれに対応するクリートが違う。
このようにペダルによって装着できるクリートが異なっているので、購入前にはしっかりと確認しておくこと。なお、この後実際にシューズを履いてから調整を行うので、ロードバイクに乗る際に使用する靴下も履いておく。
ビンディングシューズは足のサイズに合ったものを用意する必要があるが、シューズサイズの選び方目安は以下の通り。
ペダルの軸の中心を、母指球に合わせるためのセッティングを始める。足の親指の付け根付近の最も盛り上がった部分の関節に母指球がある。その部分の位置を指先などで押して場所を確認してからビンディングシューズを履く。この際、裸足ではなく靴下を履いておき、走行中と同じ足の位置にしておくこと。
シューズを履いたらソール側面を手でなぞりながら拇指球の位置を確認し、ソールの側面に母子球の位置の目印として、ペンなどで印を付ける。これで母指球の位置を確定させるのだが、この位置がずれているとこの後のセッティングの意味がなくなるので慎重に。印をつけたら靴を脱いでも大丈夫。
足の親指の付け根のふくらんだ部分(足の内側の一番突起したところ)が母指球という骨の先端
この後ソールにクリートを取り付けていくが、作業を行いやすいようにクリートの仮止めを行う。シマノSPDクリートは3mmのボルト2本で固定するので、3mmに対応したアーレンキーを準備。
クリートにワッシャーをはめ、ソールにあるネジ穴にボルトを差し込み時計方向へ回しクリートを仮り止めする。クリートは前方・後方の向きが存在するが、方向が示されているので間違えにくいだろう。クリートの前後位置とワッシャーの左右位置は後程調整するのでこの時点では適当で大丈夫。
なお、ワッシャーには表裏があるので注意すること。凹みがあるほうを表側に。
靴を裏向けにしてシューズの側面部分の線から水平位置にシューズの底面にも確認線を引く。この位置がペダルシャフトの中心に相当する。その線とクリートの前後中央の位置が一致するようにクリートを移動させ、前後位置を確定させる。よく見るとソールのクリート装着部分には目盛り上の水平線があるのでそれも参考にするといい。
前後位置が確定したらアーレンキーでボルトを締めてクリートを固定する。
クリートの左右位置については、自分の走行スタイルによって変わってくる。クランクの回転を重視するタイプならクリートを平行に外へ移動し固定、踏み込み重視ならクリートを平行に内側へ移動して固定する。ビンディング初心者の場合はまずは前後の中心線に沿ってセッティングしておき、乗りながらどちらが自分に適しているかを把握してから微調整するといい。
クランクの回転重視 | 踏み込み重視 |
---|---|
クリートを平行に外側へ移動 | クリートを平行に内側へ移動 |
一応はここまででセッティングは完了だが、ペダルをまだ取り付けていない場合は以下の方法も行い微調整などを行っていきたい。
ペダルをまだロードバイクに取り付けていない場合は、このタイミングでクリートにペダル単体を固定して設定位置が適切かどうかを確認できる。
手の力だけではペダルにシューズを固定しづらいため、ペダルを下にしてクリート先端をペダル前部分に掛けてからシューズに体重を掛ける形で押さえつければ「パチン」という音とともに固定される。
固定されたら靴を裏返しにして実際にペダルシャフトの中心とシューズの底に付けた線の位置とが同じになっているかどうかを確かめる。
次は横から確認。ペダリング中の12時から3時へ踏み込む間の足の傾き(ほんの僅かに踵が上がった状態)に合わせ、母指球の線とペダルシャフトの中心とが一致しているか確認。ずれていたら、再度クリートを動かして調整を行う。
ペダリング中の足の傾きに合わせてクリートの取り付け角度を微調整する。この微調整によってペダルを自然な感じで踏み下ろすことができ、走行中のヒザや足首への違和感やストレスを軽減できる。
まずは平常時の脚の角度を調べる。平らな場所でヒザを高く上げて、ペダリングするときと同じ脚の角度になるようひざを高く上げ、20回程その場で足踏みをし、足の向きを意識的に変えないで自然にゆっくり足を止める。これを何回か繰り返すと足の向きの自然な角度や、足の開きや前後のズレを確認できる。
確認できたらペダルに足を固定したときその角度になるよう、アーレンキーを使ってクリートの角度を微調整していく。なお、左右のクリートが同じ角度にならないことがあるが骨格には個人差があるので特に問題はない。
左右のカカトが近い人 | ガニ股の状態でペダリング |
---|---|
足の内側が平行な人 | 真っ直ぐ踏み下ろすペダリング |
カカトが広い人 | 内股のペダリング |
セッティングが終わったら実際に試乗してみる。緩い上り坂などでペダルを回してみて、脚の関節や筋肉に無理な力がかかっていないかを確認する。違和感をそのままにしておくと膝や足首の故障の原因ともなり得るので、クリート位置や角度を微調整して対応する。
このとき、自分のスタイルによって若干のクリート前後位置を変えることになることも知っておこう。
なお、クリートやペダルによっては、ヒザなどへのストレスが防げるように走行中でも足を前方に動かせるモデルもある。
これでクリートの設定は完了だが、踏み込むペダリングスタイルの人はクリートを若干前気味に、回転重視スタイルの人は若干後ろ気味にしたほうがピッタリ来ることも。このあたりは実際に走ってみないとわからない。
長い距離乗っているうちに試し乗りの時点では感じなかった違和感があれば随時調整していく。 クリート位置の適切な設定には時間がかかるものだ。一回で完璧に調整できるものでもないので、気負わずじっくりと行っていこう。
ほとんどのビンディングペダルにはクリートを固定・解除する力を調整できる。ちなみに、ペダルによってベースとなる固定力が異なり、レーシング向けのペダルは固定力が強く、初心者向けのペダルでは固定力が弱いなど様々。
ビンディングペダルを初めて使う人は、ペダルへの固定・解除をスムーズにするため、クリートの固定力が弱いペダルで、さらに最も固定力が弱い設定から使い始めるといい。固定力が弱いためクランクへの力の伝達力は若干弱まるが、いざという時でも外しやすく安心。
脚の力の伝達力 | 慣れるまでの安全性 | |
---|---|---|
固定力強 | ◎ | △ |
固定力弱 | △ | ◎ |
調整ボルトは反時計方向に回すと調整ボルトは緩まり、時計方法に回すと固定力が強くなる。
クリートは永年で使えるものではなく、歩くたびに削られていく消耗品なので、ある程度の期間が経てば交換することになる。ただ、交換のたびにクリートの位置を最初から調整するのは面倒。クリートの交換前には靴にクリートの適正位置をペンなどでなぞり書きしてマークしておくといい。
初心者にありがちだが、クリートの位置調整確認の際、シューズとペダルが固定されたまま外せないことも。この時は、左手でシューズ・右手でペダルを持ち、シューズを下方向・ペダルを上方向にひねると簡単に取れる。イメージとしてはアボガドの種を取るイメージ。ひねる方向は左右で異なるので両方試すといい。
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